141~145

141話

(お題:『束縛こそが永久の愛の形 』)

#twnovel

「ご主人様、早く私を解雇してくださいよ」朗らかに笑う彼女は、今年いくつになるんだったか。「そう言わずに、もう少し僕のことを助けておくれ」彼女は、困ったように、だが嬉しそうに、微笑んだ。僕にとっては、束縛こそが永久の愛の形。


142話

(お題:『誰が、私の価値を決めていいと言った』)

#twnovel

「誰が、我輩の価値を決めていいと言った」静かな口調だったが、竜王の怒りは明らかだった。柵越しにもかかわらず、怒気に圧倒される仲間たち。だが、少女だけが、前に歩みでた。「あなたの価値を、決めるつもりはないよ。ただ、仲良くなりたいとは、思っているけれど、ね」


143話

(お題:[昼]の[喫茶店]で『最後』、『仔猫』を使用した140文字小説)

#twnovel

「今日はもう店仕舞いね」兎獣人のハルさんの耳が、ピクピクと小刻みに動く。昼の喫茶店は、珍しく、客は僕一人の貸切状態だった。「貴方、子供は苦手?」「子供…?いや、むしろ好きですけど…」「なら、良かった。ちょっとこれから賑やかになるから」ハルさんは穏やかに微笑む。


144話

#twnovel

「貴方は、今日の最後のお客様だから。これ、サービスよ」ハルさんがそう言って柑橘系のゼリーを出してくれた。事情はよく分からないが、ゼリーを味わう。しばらくすると、子供の声が幾重にも重なって聞こえてきた。そして「ハルお姉さん、こんにちは!」元気な声だった。


145話

#twnovel

十人程の子供が、わらわらと店の戸をくぐってくる。子供達には、皆、猫の耳があった。仔猫の獣人らしい。「お兄ちゃん、だぁれ?」一人の子が、僕を不思議そうに見上げる。服の裾からは、長い尻尾がゆらゆら。仔猫の獣人とは初めて会うが、職業柄、子供は好きだ。

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