116~120

116話

(お題:[朝]の[アパート]で『仔犬』、『滝』を使用した140文字小説)

#twnovel

朝の通学路で、今時こんな事ってあるのか。とあるアパートの近くで、「くぅーん」ダンボール箱に入れられた仔犬が僕をつぶらな瞳で見上げている。滝のように汗が流れた。このご時世に捨て犬!?僕は連れ帰りたい気持ちでいっぱいになる。だが今日は月曜日。これから学校なのだ。


117話

#twnovel

しばらくその場で悩んでいたが、結局、仔犬をその場に残して学校へ向かった。その日の授業が終わると、僕は一目散に帰路につく。今朝のあの場所へ向かうと、もう仔犬は居らず、空のダンボール箱だけがあった。僕の胸は、ささくれができたように、チクチクと痛んだ。


118話

#twnovel

翌週の月曜日。胸のささくれは未だ治らず、沈んだ面持ちで学校へ向かった。「わん!」すれ違った犬に吠えられた。踏んだり蹴ったりだ…。チラと振り返る。ピカピカの首輪を付けた仔犬が、飼い主と思われる人と一緒に嬉しそうに歩いていた。「あ…!」ささくれが、治った気がした。


119話

(お題:[夜明け]の[牧場]で『ウグイス』、『早い』を使用した140文字小説)

#twnovel

この辺りは緑が多くて、いつも爽やか。駅までの道のりを、いつもはバスなのだが、今日は気分転換にのんびりと歩く。小さな牧場の脇を通りかかると、「ホーホケキョ」なめらかで上手な、ウグイスの鳴き声がした。僕は苦笑する。「早いよ」夜明けの世界を、僕は歩いて行く。


120話

#twnovel

「お前はバカじゃない。その賢さは、お前の身を助けるだろう。だが賢い故に、いつか困ることもあるだろうなぁ」亡き父が、生前語っていた言葉。当時幼かった私には意味が分からなかった。今となっては、よく理解できる。

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