111~115

111話

#twnovel

街を囲む煉瓦塀を、更に覆うように薄緑の膜が見えた。なるほど、あれがバリアか。なんとも――「馬鹿馬鹿しい。フレイユ、聞こえてた?」「あぁ、分かってる」ホノカの影から、ぬっと出てきた竜は、本来の巨体を久々に表した。ホノカは、差し出された首にヒラリと股がる。


112話

#twnovel

「おい、ホノカ!ちょっと待 ――」「止められても、行くよ。障壁はこの手でぶち壊す。それが、私の意志だから、ね」王に、国に、時代に逆らうことを、ホノカは決めて、飛び立った。


113話

(お題:『涙より血を流す方がましだ』)

#twnovel

「なんでお前がここにいるんだよ」「なんで、ですって?『俺は戦場に行くから、お前は安全な所で待っててくれ』なんて言われて、アタシが素直にそうすると思った?あんたの身を案じて涙を流すよりも、隣で一緒に戦って血を流す方がましよ。むしろ本望だわ」「…お前には敵わんな」


114話

(お題:『過去が支えて俺が成り立つ 』)

#twnovel

「だーかーらー!竜の習性としてこれらがあるから、こーなって、あーなって、そーなるんだってば!」「なんでそんなこと覚えてるんだよ!?」「え?知識として常識でしょ」「常識じゃねーよ!幻獣学で満点取るやつなんて、初めて見たわ!」クラスメートに思い切りツッコミされた。


115話

#twnovel

そうか、私の出身地ではこれは常識だったけれどな…。手元の三桁満点のテスト用紙に、苦笑が溢れた。もう、あの場所には戻れないけれど――過去が支えて、私が成り立つ。

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