106~110

106話

(お題:『賭けようか』)

#twnovel

預かっていた竜の仔達を、些細なミスで逃してしまった。ギルドの仲間が忙しなく対応している中、見習いの少女だけは悠長に構えている。「今日の日暮れまでには見つかるよ」穏やかな笑顔だ。「お前なぁ…。その根拠のない自信はどこから出てくるんだ?」相棒の青年は呆れた。


107話

#twnovel

「じゃ、賭けをしよう」少女はニヤリ、と笑う。「日暮れまでに竜の仔が全て見つからなかったら、アルトの言うこと一つ聞くよ。でも、もし、日暮れまでに全て見つかった時には――」あえて数秒、間をおいて続ける。「私の見習い卒業、認めてよ」そして、少女の卒業試験が始まった。


108話

#twnovel

母が、憎かった。そりゃあもう、殺してやりたいほどに。ヒステリックだし、私に対して育児放棄はするし。だから両親が離婚した時も、当然のように、私は父に引き取られた。母は家を出て行き、その後の消息は知らない。数年後、引越しを機に私物を整理しているとノートを見つけた。


109話

#twnovel

どこか見覚えのある表紙だった。ノートのページをめくる。幼い頃の私と、母との交換ノートだった。こんなこと、やっていたっけ。適当なページを開くと、私の体調を気遣う母の文章が書かれていた。お母さん、私、殺したいほどにアナタが好きだったのかもしれない。


110話

(お題:『障壁はこの手でぶち壊す』)

#twnovel

「は?障壁?」ホノカは思わずオウム返しに尋ねた。アルトは呆れ半分、感心半分、といった面持ちで答えてくれる。「まあ、バリアみたいなものだ。ずいぶん大掛かりだよなぁ、この街全体を覆うなんて。よほどお前をこの街に閉じ込めておきたいらしいな」「はぁ…そうですか」

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