096~100

096話

#twnovel

私は一瞬驚いたが、すぐに彼女を試着室に案内し、私物のフェイスタオルを持ってきた。「これで濡れちゃったところ、拭いてください」「え、でも…」彼女は戸惑っていたが、「風邪をひいたら大変ですよ」私が微笑みを添えて一言言うと、一礼してからタオルで髪を拭き始めた。


097話

#twnovel

「雨傘でしたよね。うちで扱っている女性用の傘、見繕ってきたんですけど…」彼女が髪を拭き終わった頃、彼女の服装に似合いそうな色の傘を持って行くと、パッと花が咲いたような笑顔が見れた。「この色…!私、この色好きなんです!広げてみてもいいですか?」「えぇ、もちろん」


098話

#twnovel

会計を終えると、彼女が丁寧に感謝の言葉を述べて、深々と頭を下げた。私は「よかったら、今度はお洋服を買いにいらしてくださいね」そう言って彼女を見送った。自分で言っておきながら、もう会うことも無いだろう、とも思っていた。毎日、多くの人が行き交うこの街で再会など。


099話

#twnovel

「ひかりー!紅茶入ったよー」「わぁ〜、いい匂い!」今では頻繁にお互いの家へ遊びに行く、良き親友となった私達。ひかり、という名前の通り明るい彼女は、私にとってお日様みたいな存在だ。「ねぇ、どうしてあの時、私に親切にしてくれたの?」ひかりが不思議そうに尋ねてきた。


100話

#twnovel

「そりゃあ、ねぇ…。明らかに、『今からデートに行くんです!』って格好の女の子が、突然の雨で濡れて困ってたら、助けてあげたくもなるわよー」サラリと答えると、ひかりは顔を真っ赤にした。あ、これは相当恥ずかしがっている顔だ。

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