091~095

091話

(お題: 『身代わりになれるなら本望だ 』)

#twnovel

生きるとか、死ぬとか、そういったことに興味が無かった。痛いのも苦しいのも嫌だから、ただなんとなく生きてきただけ。私の命は、きっと軽いの。でも。「なんで…。俺なんかを庇ったんだっ…!?」貴方の身代わりになれるなら、どんなに痛くても苦しくても、本望だよ。


092話

(お題: [夜]の[アパート]で『風』、『大好き』を使用した140文字小説)

#twnovel

アパートのベランダで、夜風に当たりながら話がしたい。彼がそう言ったので、私は二人分の温かいココアを用意した。手すりに背を預ける彼に、マグカップを一つ手渡す。私も自分のマグカップを持ってくると、彼の隣に立った。昼間は暑いが、星が瞬くこの時間は肌寒い。


093話

#twnovel

少しずつココアを飲みながら、彼が話し始めるのを待った。ひんやりとした風が、頬を撫でる。「お前が、好きなんだ」唐突に彼の声が聞こえた。私は驚かない。薄々、察していたから。「ふーん。どれぐらい?」「どれぐらいって…。いや、だから…かなり、大好き、なんだけど…」


094話

#twnovel

「さて、私の返答を分かっていての告白かな?」悪戯な笑みを浮かべると、彼は渋い顔をした。「分かってる。…どうしても、一緒にいられないか?」あぁ、彼も、か。「悪いけれど、同じ時間は過ごせないな」魔女の末裔として、生きる術は多く得たが、失ったものもまた大きかった。


095話

(お題: [正午]の[服屋]で『濡れる』、『光』を使用した140文字小説)

#twnovel

彼女と私が知り合ったのは、正午に突然降り出した、通り雨がきっかけだった。「すいません、雨傘が欲しいんですが…」当時、働いていた服屋では生活雑貨も取り扱っていた。店員として働く私に、髪と上着をしっとりと濡らした彼女が、困ったように声をかけてきたのだ。

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