086〜090
086話
#twnovel
「ホノカ」青年が、少女の名を呼んだ。しかし、彼女は机に突っ伏したまま、穏やかな寝息を立てている。「おい、ホノカ。もう起きろ」声量をあげ肩を揺すぶるが、熟睡しているのか目覚めない。まったく。青年の口から溜息がこぼれた。幸せそうに眠る彼女は、どこか憎めなかった。
087話
#twnovel
「私、負の連鎖を断ち切りたいの」結婚しよう、と、プロポーズしたら、そう言われて断られた。僕のことが実は嫌いだったのだろうか?尋ねれば、彼女は首を横に振る。「そうじゃないの。でも、ごめんね。私は、一生独り身でいないといけない存在だから」意味が分からなかった。
088話
#twnovel
普通に、生きてきたつもりだった。違うと気がついたのは、友人の家族を見てから。あぁ、そうか。母も、父も、あれは虐待と呼ぶ行為をしていたのね。そう言えば、亡くなった祖父母も変わった人たちだったかもしれない。私も、いつか我が子に同じことをするのかしら。なら。
089話
(お題:[真夜中]の[ショッピングモール]で『狸』、『小鳥』を使用した140文字小説)
#twnovel
お月様が煌々と輝き、人間が深い眠りについている頃。巨大なショッピングモールは、今宵、動物達の為に開店する。小鳥は美しい囀りで客を集め。狸の仔は木の葉ではないお札に目を輝かせ。店員も客も、皆、動物。種族や食物連鎖は、ちょっと横に置いておいて。年に一度のお楽しみ。
090話
#twnovel #twnvday
人間の声が、嫌いだった。この世界には私を傷つける人ばかりなんだもの。言葉を発する人間の声が、憎くて仕方ない。世界から声が消えれば…。いや、きっと声を失ったところで、何も変わらない。文字で、手話で、場合によっては暴力で。人は私を傷つける。
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