066〜070

066話

(お題:「暴れる」をテーマに《しかしその語を使わずに》)

#twnovel

風が、雨を肌に叩きつける。砂利を投げつけられているかのような痛みだ。どうして。あいつの身に何かあったのかしら。普段は喧嘩ばかりしている相手だが、今日ばかりは心配だ。だって。まるで、あいつが泣いているみたいなんだもの。花の精霊は、天を仰いだ。


067話

#twnovel #ドラゴンの日

漆黒の鱗に、真紅の瞳。大きな翼で空を駆ける姿は、まさに神竜と呼ばれるのに相応しい。当の本人(本竜?)は、どう呼ばれているかなど気にしていないけど。「フレイユ」その名を口にすると、空中散歩を終えて、私の隣まで舞い降りてきた。彼は、私の良き友人。


068話

(お題:「カレンダーめくるのやめたんだね」)

#twnovel

「カレンダーめくるのやめたんだね」僕の部屋を訪ねてきた友人が、日めくりカレンダーを指して言った。壁に掛けてあるカレンダーの日付は、数ヶ月前で止まっている。「もう、どうでも良くなっちゃってさ」いくら抗ったところで、あの日には戻れないと理解はしているけれど。でも。


069話

#twnovel

私の通学路には、歩道橋がある。老朽化が進んでいるし、近くには横断歩道もあるから、誰も彼もが歩道橋を素通りする。もったいないな。この季節は、特に綺麗なのにね。長い階段を息を切らして登れば、ほら。こんなに空と桜が近い。


070話

(お題:「早朝の川縁」で登場人物が「約束する」、「ケーキ」という単語を使ったお話)

#twnovel

早朝の川縁、朝靄の中で二人は歩いていた。「昨日は楽しかったね。ケーキも美味しかったし」少女は隣を歩く青年に、満足そうな笑顔を向ける。青年も微笑み返した。「来年も、吃驚するようなお祝いするからさ。約束するよ」「あぁ。今から楽しみだな」何で。あの時、嘘をついたの?

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