041〜045
041話
(お題:「穏やかな笑顔に満たされる」)
#twnovel
「今日は、おひとり?」久々の来店時。ミルクティーとドーナツを机に置くと、ハルさんが尋ねてきた。「えぇ。先輩と師匠から許可を頂けまして。今回の行商は、僕一人です」「そうだったのね、おめでとう」ハルさんの穏やかな笑顔に、心細さはかき消えて。僕は温もりで満たされる。
042話
(お題:「まだ寝ない?」)
#twnovel
「まだ寝ないのか?」宿舎の屋上にいた少女に青年は声をかけた。「眠れなくて」手すりにもたれかかる少女は、故郷の村が恋しいのだろう。望んでこの街に来た訳ではないから。「大丈夫。村と同じような星空は、この街にないけど。地上にも星はあるから」夜景を指して少女は笑った。
043話
(お題:「風」「景色」「原稿」)
#twnovel
開け放していた窓から、そよ風が入ってきた。頬を撫でる心地よい風。私は走らせていたペンを止め、書きかけの原稿から視線を上げた。窓の外は穏やかな春の日差しの中、新緑が広がっている。良い景色だ。今度の主人公には、新緑の山中を旅させてみよう。新しい物語が産声をあげた。
044話
#twnovel
ハルさんのカフェ『兎亭』で、いつものようにミルクティーとドーナツを食べていた。レコードプレーヤーからは、緩やかな旋律が流れている。曲が終わり、ハルさんがレコードを変えようとした時だった。ぴくり。彼女の兎耳が大きく揺れる。「次の曲は、要らないみたいね」
045話
#twnovel
兎亭には入り口が数カ所あるが、その客は動物用の戸をくぐってやってきた。「桜花姫、いらっしゃいませ。お久しぶりですね」ハルさんが穏やかに微笑みかけたのは、ピンク色の瞳を持つ虎だった。「と、虎…の、お客…さん…?」僕の呟きは、驚きの余り流暢な言葉とならなかった。
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