World Lost World

「クソッタレ! 俺たちだけでどうにかできるわけがねぇって進言したとおりになってるじゃねぇか!」


 陸上自衛隊第一師団・真京しんきょう防衛軍第一部隊の間宮まみや軍曹が、驟雨しゅううの如く頭上を蹂躙じゅうりんする機関掃射を鉄製コンテナに隠れてやり過ごしながら左手に握った無線越しに怒号を飛ばす。


 間宮が抱える曹士官たちも彼と同様、制圧地点である倉庫内部で、身を隠しながらマルタイによる苛烈かつ一方的な銃撃を、息を殺して命からがらにやり過ごしている状況だ。幸いにも死者は出ていないが、このままでは一時間と持たず無惨な血肉の塊と化すのは明白だった。


「この状況、どうしてくれるんだっ!?」


 甲高い掃射そうしゃ音が鳴り響く中、戦況にあらがうように間宮は吠える。だが、無線越しに返ってくるオペレーターの機械的な声音はまるで戦況を知らぬかのような冷えたものだった。


魔法省まほうしょう調査課からは、当該制圧地点にRed Scorpionマルタイが所有する独立可動兵器群の配置可能性は一パーセントを割るとの報告が上がっていた。ゆえに、この事態は予見できたが、極めてイレギュラーであるとの判断により貴君らのみの出動および制圧の指令となっている。よってこの劣勢は制圧プランを練り上げたこちらの落ち度によるものだ』


「謝って済むようなもんじゃねぇぞこれはっ! 具体的な指示か、そうでないなら撤退の命令を出せ! くそがっ!」


 忌々いまいましく舌を打つ間宮が鉄製コンテナの隙間から敵の威容を今一度、見定める。


 重厚な鋼鉄の四つ足で大型武器倉庫を蹂躙じゅうりんする独立可動兵器――通称〈プロトマンティス〉は、両腕に備わった鎌状の高周波ブレードを縦横無尽に振り回し、その刃の先端に覗く7.62ミリ機関銃の銃口を無秩序に乱射しながら床や鉄筋コンクリートに無数の弾痕だんこんを刻み続ける。


 たかが一機。


 だが、殺戮の蟷螂プロトマンティスは自衛隊が抱える戦車一機と同等――いや、いまとなってはそれを凌ぐ性能と耐久性を誇り、そしてまた、マルタイが開発した高度なAIの搭載により実現された稼働力によって人力では太刀打ち不可能とも囁かれている。


 量産型の対人特化型殺戮兵器。知らぬ者はいない。


 間宮たちの視線の先にいるのは、その初期型ともいえるもの。

 もはや、生身の人間が扱える武器などでは到底かなうわけがない。対人武器では傷の一つだってつけられやしないのだから。


「だから言っただろう! こいつらは〈ノウナシ〉の領分だってよぉ! こんな場所で野垂れ死にするわけには――ッ!?」


 間宮が叫ぶ間近の地面を、音速を超える弾丸の嵐が舐める。機関掃射が過ぎ去るのを待ってから、今度は声を殺して続ける。


「〈ノウナシ〉のやつら、くるんだろうな……」


『既に救援要請を出している。間もなくそちらに到着するはずだ』


 もはやこれは、陸上自衛隊の管轄外の案件に様変わりしたと断言していい。

 横浜湾の一角にひっそりとそびえる無骨なコンテナ倉庫がマルタイ所有の武器――もとい兵器製造材料の仮置き場だと判明したのがつい十日ほど前。そこから、マルタイ所属員の出入りが少なく、最も危険性のない日時にて、陸上自衛隊所属の一個小隊四名カルテットによる現場制圧と兵器製造材料の差し押さえ実行、という行動予定だった。


 間宮の生まれる数百年も前――それこそ33世紀頃には既に警察という組織は解体されてしまっている。現存したのであれば彼らが担うはずであった責務を国防こくぼう組織が背負わざるを得なくなったことに、間宮個人こじんとしても文句はある。しかし、仕事これ仕事これ


 間宮が曹士になって初めての特殊案件あんけんだったが、当初の行動予定はすべてあの機械に消し飛ばされてしまっていた。

 現場の判断ミスではないあたりが、間宮にとっては首が繋がるという意味で救いである。文字通り生きていればの話だが。


 全長数メートルにも及ぶ殺戮兵器だ。金属探知でも容易にその存在は認知できたはずだが、いまさらなにを言っても後の祭り。


 事前の調査が杜撰ずさんだったというよりは、魔法省まほうしょうお得意の遠視や金属探知をかいくぐるような代物だったのだろう。もしくは、マルタイ側の魔人メイブルとやらが探知阻害魔法の類をほどこしたか。


 なんにせよ、〈プロトマンティス〉なんて戦闘兵器の相手などしていられるものか。対人兵装で挑むなんて、丸腰のようなものなのだから。


 首都が東京から真京へと鞍替えしたあとも国外貿易の重要拠点の一つとして機能し続ける横浜埠頭、それも深夜における特別任務とくれば、できることは限られている。近辺の倉庫を保有する企業に事前通知は出しているが、だからといって対物用の銃器や戦車はまともに出動させられない。


 魔法だの高度AI搭載の対人殺戮さつりく兵器なんてもの、生身の人間が相手にしていいものじゃあない。死ぬに決まってる。


 反吐へどとともに喉元から込み上げる感情をなんとか胸の奥に押し込めて、間宮は即座に思考を切り替える。

 もはやこうなれば、考えるべくは戦線離脱だ。


 広範な倉庫内に散り散りになっている部下三名とともに、外へ撤退を図らなければならない。だが、マルタイの確保もまた、自衛隊でなければできないことになっている。援軍としてやってくるはずの〈ノウナシ〉どもには、どういうわけかマルタイ所属工作員の捕縛ほばく権限はない。恐らくは上層部同士による政治の駆け引きが関係をするのだろうが……。末端には関係のないことだ。


 間宮は雑念を振り払うように首を数度振って、再び無線へ声を飛ばす。


「……お前ら、いまどこにいる」

『浅川は出入り口付近です。こちらは特に異常なし。脅威もありません』

『小西、地下の制御室。現在、マルタイ確保に向け捜索を続行中。AI殺戮機などの脅威はなし。……地響きは、凄いですけどね』

『野本。場所は浅川の対角線にあるコンテナエリア。何度かあの蟷螂の掃射の間隙を縫わないと出口には辿り付けません』

「了解。聞いていただろう、もう間もなく〈ノウナシ〉がくる。小西は敵の脅威が迫らない限りで捜索を続行。野本は、できるようなら出口まで回り込んでこの場から脱出しろ。浅川は射撃で援護。無理そうなら静かに待て。俺は小西に合流する。この場所からだとそっちに合流するほうが近いからな」

『了解。それじゃあ早速、ブラフで数発、ぶちかましますよっ!』


 無線の先で撃鉄の起きる音がした数瞬後、金属がかち合う激しい音が倉庫内に反響した。

 結果は確認しなくとも分かる。


『……反応がねぇ。というよりも無視か』

『報告にあった通りか。陽動が無理と以上、無闇にコンテナエリアから出ないほうが良さそうだ。……要するに、鬱陶しいムシケラ以下ってことだな、俺たちは』


 野本がせせり笑った。間宮には、無線の先で渋面を浮かべる野本の顔がはっきりと想像できてしまう。

 それ以上、会話は続かなかった。対人用の銃弾が通用しないのは他部隊からの事前の報告で判明している。手持ちの手榴弾を放ったところでなにひとつ結果を変えられない。

 そんな当たり前の現実の目の当たりにして、間宮の胸中に激情が渦巻く。


 辿ってきた歴史そのものが、進化できなかった数多の人間を無能な存在へと退化させた。古い枠組みに囚われたまま、時代においていかれた組織など、一体なんの意味がある。

 手に取った銃では、生身の人間しか殺せない。


 殺戮兵器に対して、自衛隊お抱えの対人武器など牽制にも威嚇にもなりはしない。

 旧来からの装備に拘り続け、マルタイの確保どころか自分の身すら満足に守ることのできない自衛隊組織に、果たして存在意義など。


 浅川は懲りずに全自動の小型小銃を撃ちっぱなしにしているらしい。しかし、鋼鉄の蟷螂プロトマンティスはまるで反応せず、あちこちのコンテナへ無意味な掃射を続けている。埒が明かない。


 しかし、運良く機関掃射がそっぽを向いている。であれば。

 いまのうちに地下へ――


「――ッガ、アッ!?」


 階下へと伸びる段差へ足を掛けた刹那、死線が足元を駆け抜けた。

 そっぽを向いていたはずの〈プロトマンティス〉が突如として反転し、鎌を横凪ぎしながら鉛玉を打ち放ったのだ。撃ち抜かれたと思ったときにはもう遅い。

 間宮の右脚が蜂の巣のようになって、周囲に血肉が飛び散る。呻き声を上げ、為す術もなく地べたへ倒れ込んだ。


「間宮さんっ!」


 見えていたのか、コンテナと同化するようにして身体を隠していた野本が叫んだ。


「く……るなっ! 巻き添えだけは……駄目だっ!」


 蟷螂は知ってか知らずか、でたらめに弾を撒き散らしながら、しかし確実に間宮へと進行してくる。

 踏みつぶされるのが先か、鉛の驟雨に晒されて無様に血肉をぶちまけるのが先か。


「だけど、間宮さんっ……!」

「逃、げろ……くるな…………俺は、駄目だっ」


 無機質でぞんざいな殺戮の音が接近してくる。コンクリートを踏み抜き破片を微塵に砕く質量が迫る。ひとたまりもない。人間に確実な死をもたらす文字通りの殺戮兵器は、上位AIの命令通りに淡々と命を刈り取る。その、圧倒的で徹底的、躊躇する感情などあるはずもなく、洗練された挙動に一切の情はない。


「――ッ」


 気付かぬうちに蟻でも斬り殺すかの如く、〈プロトマンティス〉が鋼鉄の両刃を振り上げる。

 間宮は本能的に目を瞑った。走馬灯はない。無惨な死の予兆。絶命へと至るまでの壮絶な痛みすら、感じる暇はないだろう。

 存外、楽に死ねる。そう思って、覚悟する。

 それと同時だった。


「う、おっ」


 つぶった視界の先で鮮烈せんれつな朱が轟音ごうおんを伴って炸裂さくれつした。

 手榴弾の類ではない。起爆を決定づける物理的なそれはなく、忽然こつぜんと現れた空気の歪みが熱源を伴い爆ぜたのだ。


 間宮の無様な五体が冷えたアスファルトの上を転がる。対面にいた鋼鉄の両刃が傾ぎ、歪な破砕音をたててアスファルトに突き刺さる。右脚を失った間宮の目と鼻の先を掠める鋭利に研がれた鉄塊。見上げた先、漆黒に塗れた鈍色に浮かぶ二つの赤眼と視線が合い、間宮は悲鳴をあげる。

 しかし、〈プロトマンティス〉はブレーカーが落ちたかのようにぴたりと制止したかと思うと、次の瞬間には両刃を振り上げ、そのまま一八〇度反対側へとその鋼の体躯を倉庫の入口へと向けた。


 その先、見える影は三つ。

 一つは部下である浅川のものだ。


 そして、見覚えのない、二人組。

 大きなほうは、浅川に似たシルエットの体躯を闇に浮かべるそれ。なにやらでかいものを背負っているが、その仔細しさいは窺えない。

 そしてもう一つは、浅川の肩ほどまでの身長しかない、小柄な人間。特徴的なのは、その小柄な背丈ほどもある細長い棒を掴んでいることだろうか。


「遅くなりました。緊急援助指令を受けて参上しました。魔法省まほうしょう特務部隊・対AI戦闘せんとう機対策課所属、藤堂とうどう神楽かぐらです」


 別段、焦る様子もなく事務連絡のように告げるその声は随分と若い。


「ここから先は、あたしたちだけで充分です」

「……っ」

 だが、彼女が口にした肩書きと冷徹にも思える引き継ぎの姿勢に、間宮は安堵と悔恨の双方を覚える。


 ――ロクに太刀打ちできないなんて、陸上自衛隊の名が聞いて呆れる。

 そう、言われている気がしてならなかった。


「奇天烈な魔法使いども、か」


 魔法使い。または魔人メイブル。この世界において、最前を歩むことを神によって許可された者たち。自衛隊に所属するような凡人には手の届かない領域へと足を踏み入れた、世界に選ばれし存在。


「結構。大した怪我を負っているようですが、こちらに届く程度の侮蔑ぶべつは吐けるようですね。安心しました」


 底冷えるような声音が真冬の倉庫内に凛と響く。淑やかな刺繍ししゅうが施されている法衣を身に纏い、魔法発動の安定性を維持するための導杖どうじょうを構える藤堂は、眼前がんぜんの破壊対象を見据えて射殺すような瞳を宿す。


「先程の〈爆裂ばくれつ〉が効いてないってことは、対魔法コーディングか。事前調査で魔法省が掴めなかったのはこれが原因ってことね」

「……俺の出番か」

「念のため同伴を要請してよかったわ」

「……こういうときのお前の勘とやらはよく当たる」

「それじゃあ、いつものようにお願いできるかしら」

「……ああ。仕事だからな。任せろ」


 藤堂を庇うように躍り出ては〈プロトマンティス〉の前に立ちはだかった男は、一見してなんの変哲もない、間宮と同じ人間のように見える。


 しかし、間宮は、その男こそが、この場に最も相応しい存在であることを知っていた。


 年の頃は藤堂と同じく十代後半に入ったばかり。声音はまだあどけなさが残り、泰然たいぜんとした表情もどうして戦場には似付かわしくないほどに凜々しい面立ち。

 しかし、自衛隊といえど生身では太刀打ちできない殺戮兵器と対峙する威風の堂々たるは、これまでに駆け抜けてきた戦場の辛酸しんさんを舐め尽くしてきたからこそ滲み出る、隙のないものだ。


「それじゃあ始めるとしよう」

『――敵性認識。優先的抹殺を開始します』

 男女のどちらともとれない機械的な音声が倉庫に響いたと同時、鼓膜をつんざく爆音が間宮たちへ襲い掛った。

 それこそ弾倉にあった弾丸のすべてを一斉に吐き出すかのような、爆撃とも呼べるそれ。


 このとき初めて敵性を認知した蟷螂の猛烈な掃射を前に、しかし男は仁王立ちのまま微動だにしない。


「っ……」


 間近で見ていた間宮は息を飲む。

 並の人間であれば散弾に撃ち抜かれて瞬殺され、血肉は微塵みじんにされるだろう。

 だが。


「……なるほど。対人殺戮兵器、その試作型か」


 鉛玉の驟雨を平然と受ける男は、人の形を保ったまま、血の一滴も流さず、平然と蟷螂へ接近していく。

 人であるはずの男は、しかしすでに、間宮が認識している〈人間〉と呼べるカテゴリに属するような身体ではない。


「そこらの人間を殺せる程度の機関掃射で、俺は壊れん」


 容易に人肉を引き裂く嵐の中を突き進みながら、男は背中に背負っていた一メートル強はある金砕棒サイデンの柄をあもむろに右手で掴むと、腰を捻り、〈プロトマンティス〉へ豪快に叩き付けた。

 響くは、脳髄のうずいを揺さぶる程の激烈げきれつな金切音。

 ガギギギッ! と続く、金属がひしゃげる甲高い悲鳴が倉庫内に反響する。


 不快音に間近にして思わず顔をしかめた間宮は、しかし次の瞬間、目を見開く〈プロトマンティス〉の左脚手前の一本があらぬ方向に折れ曲がっていた。


「……ふむ」

 男は容赦しない。一切の隙を見せない。対象がスクラップと化すまで徹底して破壊を続行する。立て続けに発生する轟音は、破壊の音色を奏でる。対して殺戮兵器と呼ばれているその一機は、全弾を一斉に掃射し、稼働速力を全開に高周波ブレードを乱舞する。


 しかし、誰の目からみても戦況は明らかだった。


 計六本あった〈プロトマンティス〉の脚は左右の後ろを除いた四本がすでにあらぬ方向へとへし折られ機能を失い、機銃と一体であった鋼鉄の鎌は刃を削ぎ落とされ、殺戮に要する機能のすべてが金砕棒によって数分も満たない間に徹底して一方的に叩き潰された。原形をとどめず、見るも無惨な有様である。


「目標、戦闘能力の消失を確認。戦闘データをみるに、特段の新機能はなさそうだ」


 息も乱さず、至極淡々たんたんとした口振りで男が藤堂に告げる。


「そう……。ならこれは電気系統もすべて破壊しちゃっていいってことね。調査資料として回収したところで価値のあるようなものじゃあないし」

「どうするかは俺の管轄外だ。煮るなり焼くなり好きにすればいい。破壊は任せたぞ」

「了解。それじゃあ私は事後処理を含めてここに残るから、あんたは怪我してる自衛隊員を病院まで運んで。それとそこの人、救急に電話して。ここから最寄りで魔法省と連絡が取れる所となると新横浜総合医科大学ね。緊急外来の電話番号はそっちで調べて。両脚欠損けっそんしてるから魔法省治療課ちりょうかを呼ぶように。藤堂あたしの名前を出せば文句は言われないわ」


 唐突に矢継早な指示を出す藤堂の声に、しかし浅川は慌てず小声で復唱してから、即座に行動に移る。

 その様子を一瞥した藤堂は、一見して機能停止に陥った〈プロトマンティス〉の外装に手を触れ、静かに呟いた。

「怒り狂え〈雷電らいでん〉――サンダーボルテックス」


 次の瞬間、視界を白く染める数百万ボルトの雷が〈プロトマンティス〉を構成する鉄鋼を駆け巡り、内部に搭載された電気系統や電子部品の一切合切いっさいがっさいを灼き尽くす。


「……とんでも、ねぇ、な」


 現実を凌駕りょうがするような光景の連続に、間宮はへらへらと笑うしかない。人間のそれじゃない。まるでSF映画のワンシーンだ。

 いや、ファンタジーかなにかか?


 偉人が唱えたといわれる人間の進化論、その未来に、この現状はなかっただろう。


 こいつらは、違う。


 人間であって、人間を超えた存在だ。

 新人類と言われる、それだ。


 銃弾を受けても掠り傷の一つもない男が、両脚をなくした間宮を軽々と担ぐ。


「おい、ノウナシ……。名前だけは、聞かせろ。治療が終わって……起きたら、まずは……これの始末書、書かねぇといけねぇ……からよ。てめぇの名前も、残しておいてやる」


 からからに渇いた喉から絞り出した間宮の声に、男は頷き、口を開いた。


「……Antunionアンチュニオン所属。コードネームは――」


 朦朧もうろうとする意識の中、間宮は男の声をなんとか鼓膜で捉え、その名を脳に刻みつける。


「――絶影ぜつえい

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