第2話「祭の夜に咲く花は」8(完)

 そして、カレンとシエルが制作したフレイムマイトは一体どうなったのか。それはお祭りの終盤ごろ、明らかとなった。

 早めに店舗を閉めた時計塔中央公園には、十本の火筒が、時計塔を中心に円を象って立ち並んでいた。それを見守るように、サザンストリートに人が集まり出す。時計が七時へのカウントダウンを切り始める。

 勿論、通りではカレンやシエル達がその時を待っていた。

「楽しみね。でも大丈夫かしら……」

「大丈夫だよ、シエルと二人で作ったんだもん」

 そして、七時のチャイムが鳴り響く。それと同時に火筒から勢いよく何かが飛び上がる。それは時計塔を大きく越えると、次いで大きく破裂する。そして、華やかなカラーリングの火花が、夜空をバックに広がった。

「わぁ、お姉ちゃん達、花火作ってたんだね」

「そうだよ」

「厳密に言えば、それを飛び上がらせる為のものだけどね」

 そう、今回の依頼は花火を打ち上げるための火薬を作ることだった。花火の数とフレイムマイトの数が合わず、急遽、カレンに依頼を持ちかけた――それもまた、ちょっとばかりおっちょこちょいな都長マリア・ソールの手違いだったという。

 花火は順を追って次々打ち上げられた。そして、ストリートは歓声に満ち溢れる。こうして、三日間に渡るエリス時計塔祭は、終わりを迎えた。カレンとシエルにとっては、とても長い三日間だったに違いない。

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