第1話「街の小さな薬屋さん」8(完)

 それから数時間が経ち、いつもより遅れて業務を開始したホワイトバレーではちょっとした動きがあった。

 リーナはその日の昼頃ファーマシーに顔を出し、いつものように明るい笑顔を見せて、カレンにこう告げるのである。

「お姉ちゃん! リオちゃん大丈夫だったよ!」

 ようやく忘れ掛けていた毛生え薬に取りかかれたころ、そんな声とともにリーナが飛び込んできた。調合部屋に居たカレンを見るなり、一身を投じて抱きついてくる。

 実は薬を使った後、息を引き取ったかのように見えたリオは、薬の効能によって、眠らされただけだったのだ。まったくと言って、彼女たちの大きな勘違いだったのである。

 抱きしめるもうれしさか、リーナはいつものような元気な笑みを見せて、店主にこう告げるのだった。

「お礼に、リィ、お姉ちゃんのお店手伝うね!」

 カレンから離れるなり、早速お店の手伝いを始めたのだ。リーナが加わって、これからどうなるのか分からないが、一層明るくなるには違いない。そしてカレンは、もう絶対失敗しないと誓うのだった。

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