第2話『三人の勇者』(3/6)
■□ クリクの記録(媒体:脳) □■
■初日・午後■
西を目指して歩き始める。
すぐに隊列を乱して駆け足で前に出る者が現れる。
右頬に刺青のある男。 ペースを落とせと言うが、聞かない。
遠くへと走っていき、その後確認できず。 多分逃げたと思う。
十里(約10km)歩くとまだ行くのかと質問。 不満げ。 答えられない。
日が暮れる。 もう少しと言おうとして振り返る。 ごっそりと人が抜けている。
夜になった。 多分四十里ちょっと。
日が落ちたら村に帰る手はず。 みんなの眼が怖くて言えない。 野宿を命令。
夕食、行動食の揚げた豆練り食う。 素朴ながら地場のいい味。 油っ気強く喉が渇くので水をたっぷり飲む。
寝る前に脚を揉んでおいた方がいいと提案受ける。 茶髪の真面目そうな男。 顔が四角い。
■二日目・午前■
起床。 人がまた減っている。 ため息。
朝食、揚げた豆練り食う。 昨日よりまずい。
脚がむくんだ者多し。 マッサージの必要性痛感。
朝食後、出発。 ひとまず帰路。 東へ。
滞りなく進行。
太陽、南に登る。 距離ほぼ三十里。 見晴らしの良い岸辺。 昼休憩を決定。
食事中に判明。 川はムース川。 東西取り違えた。
死ねの声多数。 乱闘に発展。 半数脱落。
昼食なし。
■二日目・午後■
全員で方角確認し、東へ。 残り十四人。
水枯渇。 絶望。
真面目そうな男から川に戻り補給の具申。 反対多く崩壊恐れ却下。 残念。
日没。 東へ十里。 乱闘の為滞る。 ナグハまで残り六十里。
夕食。 揚げた豆練り。 豆の味。 喉乾く。 木の葉かじり凌ぐ。
■三日目・午前■
日の出。 起床。 出発。 脱落者なし。
朝食。 揚げた豆練り。 味。
歩く。 歩いた。
日差し。 眩しい。
昼食。 揚げた豆練り。 油臭い。 吐く。
出発。 日差し変わらず。 眩しい。
頭重く全身だるい。 日差し緩んで幸い。 暗い。
日差し益々緩む。 黒い。 何も見えず。
クリク殿。 呼ぶ声。 返事する。
したつもり。
■三日目・午後■
帰宅。 母出迎える。 よく無事での声。 感謝。
父壮健。 やっぱり泥掘りにしとくか? 断る。
そう言うと思ったよ。 そろばんのプレゼント。 最高。
夕食。 お母さん腕によりをかけて作るからね。 期待して待つ。
召し上がれ。 主食におかず二品と汁物。 豪華。
主菜。 揚げた豆練り。
副菜。 揚げた豆練り。
汁物。 揚げた豆練り。
箸。 揚げた豆練り。
父見やる。 豆練り。
母。 豆練り。
上。 豆。 下。 豆。
西。 豆。 東。 豆。
豆。 豆。 豆。 豆。 豆。
豆豆豆豆豆豆豆豆豆
豆豆豆豆豆豆豆豆豆
豆 豆
豆豆豆豆豆豆豆豆豆
豆 豆
豆 豆
豆豆豆豆豆豆豆豆豆
まめ。
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