第12話 『ショートパンツ』はどんな力を持つか?

「それじゃ、ボトムスに『ショートパンツ、キュロットスカート』を選んだ場合について解説するね。

 ……とはいっても、トップスやアウター、シューズなどのアイテムの組み合わせについては、ボトムスに『スカート』を選んだ場合とほぼ重複してしまうんだ。

 だから、ここでは

『ショートパンツとキュロットスカート、どちらを選べばいいのか?』

『そこから生み出される演出効果にはどんなものがあるか?』

 ……について考えていこうか」


1.『かわいい』×『おとなしい』

「この属性を持つキャラに履かせるなら、やはり『キュロットスカート』だね。

 スカートに見えるショートパンツ、と以前に説明したとおり、このアイテムは裾がひらひらとしていて、華やかで可愛らしい雰囲気のものだよ。

 だからこそ、注目してほしい点は、『丈が短いため、足の露出が多い』ことと、スカートのように『下着が見える心配がない』ということ。

 スカートの項目でも似たような話をしたけれど、動きやすいのが大きな特徴なんだ。だから、普段はおとなしいキャラが、少し活発になるようなシチュエーションで使えば効果的だと思う。遊園地みたいな、野外のシーンで使いやすいんじゃないかな。

 その際、特に『かわいらしさ』を大きく打ち出したい場合は、トップスを『ブラウス』、足元を『スニーカー』、バッグに『ポシェット』を選んでみるのはどうだろう? お財布だけしか入らないくらい小さな形のポシェットは、どこか子どもっぽい雰囲気があるから、自然と可愛らしいイメージが生まれるんだ。

 服装に限らず、『かわいい』印象を強めたいときは、どこか子どもっぽい要素を加えたり、立ち振る舞いを幼くしてみるのもひとつの方法だよ」


2.『かわいい』×『活発』

「この属性を持つキャラは、『ショートパンツ』『キュロットスカート』のどちらも有効活用することができる。

 だから、より活発に見せたければ『ショートパンツ』、可愛らしさを求めるなら『キュロットスカート』を使用するんだ。

 また、どちらを選ぶにしても、ごく普通に、自然にそのアイテムを選んだという雰囲気が出やすいように思う。また、『スカート』の時に挙げたどんなトップスやシューズ、アウター、アクセサリーを選んでも、ちぐはぐにならず、ぴったりと収まりやすいよ。

 僕の個人的な考えなのだけれど、こと創作の世界において、『女の子らしさ』と『足を出すこと』は似通っているように思うんだ。おそらくは、男性のファッションと最も異なる部分が『足を出すこと』だから……かな?

 そこから考えたときに、生まれるシチュエーション――特別に着飾ったりしない、自然体の姿。主人公にとっては気安い、けれど、不意に女の子らしさを感じてどきりとするような瞬間について、君はどう思う?」


3.『かっこいい』×『おとなしい』

「『かっこいい』属性を持つキャラは、『ショートパンツ』が使いやすい。これは、ショートパンツにふわりとした質感がないためだよ。かっちり、ぴったりといった鋭角的なイメージが、キャラを演出しやすいんだ。

 『かっこいい』キャラに限らず、服装の質感は、キャラの人物像のイメージを読者に伝える際、補助的な役割を果たしてくれる。

 例えば、この僕……カクえもんが、16歳の少年の姿をしているとしよう。

 その時に、着ている服が『襟元までボタンの留められた白いシャツと黒いスラックス』だった場合と、『胸元を大きく開いた柄シャツとジーンズ』だった場合、君はどんな印象を受ける?

 同じ話し方をしていても、随分と性格や立場の違う人物像を思い浮かべないかい?


 ――と、本題に戻ろうか。次は、使いやすいシチュエーションについて。

 これは、そのキャラが足を出すことに抵抗があるかどうかによって分かれるんじゃないかな。

 足を出すことに抵抗がないのであれば、2で挙げた例よりも的確に、キャラが自然体である部分を演出できると思う。『かっこいい』鋭角的なフォルムの服装に、『女の子』を意識される足の露出が合わさるということだからね。

 もし、足を出すことに抵抗があるキャラの場合は、きっと真っ先に『恥ずかしがる』んじゃないかな?

 君が、この項目を見るときに思い浮かべていたキャラは、どんな顔をして恥ずかしがるのかな。もし、顔に出さないとしたら、主人公から足を隠そうとしてみたり、離れて歩こうとしたり、主人公に対して知らない人間のふりをしたり……そんな風に、キャラクターのリアクションへ直接繋げてみるのはどうだろう?」


4.『かっこいい』×『活発』

「3で説明したのと同様に、こちらのキャラも『ショートパンツ』がよく似合うよ。

 なら、より『かっこよく』見せるためにはどうすればいいか、色々と考えてみようか。

 まずは、襟のかっちりしたシャツを合わせて、トップス、ボトムス共に鋭角的な印象を作る。このとき、胸元にネクタイを締めてみるのもいいかもね。シューズは、鋭角さを際立たせるなら『ヒールの高いパンプス』を、もっとシンプルな活発さを演出するなら『スニーカー』を履かせてみよう。このとき、『ハイカットのスニーカー』を使うと、ごつい印象を作り出せるよ。

 または、胸元が『Vネック』のカットソーやニットはどうだろう? 自然と胸元に露出する部分が生まれることで、鋭角的な印象の中に『女性らしさ』が生まれるんだ。冬なら、ロングブーツやダウンコートを合わせると、大人っぽいイメージが出来上がるんじゃないかな?

 ニットはニットでも、『タートルネック』の場合、上記とは反対に胸元の露出がなくなることになる。その結果、どうなるかというと、『潔癖さ』のようなものが生まれるんだ。これは、清潔感とは少し違ったニュアンスのものだよ。男性を寄せ付けない雰囲気とでも言えばいいのかな?

 ただし、ここでひとつの分岐が発生する。ずばり、胸の大きさだ。

 胸の大きな女性にタートルネックのニットを着せると扇情的な姿になるのは、もはやお約束だと思うのだけれど、その理由のひとつが上記の『潔癖さ』ではないかな? 潔癖さと女性らしさが共存しているからこそ、エロティックな風合いが生まれるのでは、とね。胸元の膨らみに乗るようにして小さな宝石の付いたネックレスが飾られていたら、もうなにも言うことはないよ。完璧だ。

 逆に、胸の膨らみが乏しい場合は、『潔癖さ』がより強調される。ストイックな、女性らしさを感じさせない風体だからこそ、ふとした瞬間に女性らしさを感じるかもしれないね。手首や足首の細さ、不意に香る甘い匂い……なんて、ね」


* * *


「さて、次回はボトムスに『パンツ』を選んだ場合の解説だ。ただ、今回と同じく、トップスなどの選択アイテムはかなりの部分で重複することになるんじゃないかな。

 だから、今回のように『何故?』『どうして?』から考えて、結果として生まれる演出効果について考えていくことになると思う。よかったら、もう少しお付き合い願うよ。よろしくね」

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