SNS

 SNSのグループトークって、既読はつくのに会話に参加してる人は少ないってことがよくあるよね。今まさにそんな状況。

 あたし達2人は、恋バナに夢中だった。

「悠ちゃんは告白しないの?」

「えー、だってフラれちゃったらショックじゃん」

「悠ちゃんは可愛いから大丈夫だよ」

「え、そうかな」

 悠ちゃんはいつもこう。実はあたしは彼女が両想いなことは知ってるんだけどね。

「告白すれば絶対うまくいくって」

「でも」

「あたしが保証するよ」

「なんで、そんなに自信あるのさ」

「それは秘密」

 秘密というか、あたしの口からは言えない。だって、あたしが好きなのは……。

「とにかく、告白しちゃいなよー」

「それよりも、美々ちゃんの方はどうなのよ」

「あたし? あたしは別に好きな人なんていないよ」

「ほんとにー?」

「本当だってば」

 嘘。でも、言えるはずがない。同じ相手が好きだなんて。

「やばっ、まだ昼食べ終わってないよ」

「恋バナばっかりしてるから」

「あんたは食べ終わってるじゃん」

「携帯いじってないからだよ」

「むー」

「いいから、早く食べなよ」

「はーい」

 今日は、恋バナが盛り上がりすぎて、お弁当がちっとも進んでなかった。

「お弁当食べてくる」

 そう一言送って、あたしは携帯をとじた。そして、彼に言った。

「少しいる?」

「じゃあ、もらおうかな」

「うん」

「おいしいね」

「あたしの手作りなんだ」

 そうして、あたしは少しだけこの幸せにひたっていた。叶わぬ恋の。

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