第15話 事件?それとも事故?

女子


今日は、何から何までついてない。

目覚まし時計の電池が切れてて、全く気づかず寝坊した。

急いでるのに寝癖が何度やっても直らない。

朝の占いも最悪だった。

玄関で忘れ物を思い出して部屋へ戻った。

しかも、3回!

まぁ・・・これは自分が悪いんだけど。

でも、私は忘れ物を滅多にしない!

自分では、そう思ってる。

そもそも、こんなに続く事は滅多にない!

はぁ~・・・

もう最悪。

そういう日もたまにはあるけど、今日の不幸さ具合は、なんだかテンションが下がりすぎる。

しかもこれかぁ~・・・

途中で自転車のタイヤがパンクしてダメになった。

さらにチェーンが外れて、カラカラいってる。

悲しい音を奏でて、私の横で並走してる。

こんな事でくじけない!

途中、なんとか元に戻らないか、四苦八苦。

予想通りというか、何度やっても直らない。

私は、何かを直すとか、そういう事はまったく分からない。

どうしていいものやら・・・

虚しくカラカラ横でなってる。

なんだか悲しくなって泣けてきそう。

泣けて・・・

落ち込みながら下を向いてとぼとぼ歩いてると、突然大きな罵声と一緒に男の人が私に突っ込んできた。

驚きと悲しさで、私の我慢していた涙腺が一気に決壊し、とうとう泣いてしまった。

しかも知らない男の人の前で。

恥ずかしくなって、もっと泣けてきた。

でも、さすがにわんわん大声で泣いている訳ではない。

その場でうずくまって、涙が出てくるのをとめられなかった。

もうやだ・・・

私が泣いているせいなのか、その罵声をとばしてきた人が申し訳なく謝ってきた。

私は、ほんの少しだけ、泣き顔のまま相手を見上げた。

でも、相手の顔を見た瞬間、私はすぐに自分の顔を伏せた。

だって、偶然すぎ!

ちょっとしか話した事はないけど、ずっと片思いしてた先輩がそこに立って私を見てるんだよ!

この状況で、驚かない人は絶対いない!

あまりに驚きすぎて、涙止まっちゃった。

先輩はもう卒業してるし、ちゃんと話したことないから、もちろん連絡先なんて知るはずない。

噂だけを頼りに、どこの学校にいったとかその程度。

その先輩が、私に優しく声をかけてくれている。

そりゃ、女子が泣いてるから優しくもなるか・・・

とりあえず涙はもう止まってるけど、先輩をまともに見れない。

私、今頭の中と顔がぐちゃぐちゃになってる。

しかも、気づいたら横で先輩が私の自転車を直してくれてる。

これは夢?

チェーンは直ったけど、さすがにパンクはすぐ直せないと言うことで、一緒に自転車屋さんまで付き添って自転車を押してくれた。

やっぱり、思っていた通り先輩って優しいな。

恥ずかしさもあったけど、うれしくなってまた涙が流れてきた。

自転車が直った後、ずっと泣いてる私の頭をなでてくれた。

今日って・・・何の日?

最悪じゃなくて、最高の日。

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