第12話 いつも誰かのそばに

男子


俺は昔からサッカーが好きで、ずっとサッカーを続けてきた。

今も、もちろんサッカー部に所属している。

そういえば最近、新しいマネージャーが入ってきた。

メンバーからも可愛いと評判だが、マネージャーをやるわりにサッカーの事はよくわかっていないようだ。

なんで、サッカー部のマネージャーなんかやろうと思ったんだろう?

サッカー以外あまり興味が無かったが、練習中も頑張って仕事をしているマネージャーをよく見かけるので、なんとなく気にはなっている。

確かに、一応見た目可愛いし何かと気が付くいい娘だと思う。

優しい世話やきが助かると感じる時もあるので、まぁ悪くはない・・・かな。

俺としては少しでもサッカーの事を知っててもらわないとと思って、色々アドバイスする程度の話しをするようにしている。

真面目にメモをとり、しっかりマネージャーをやっている姿に背中を押されているようにも感じる。

週末の日曜日。

今日は、他校との練習試合。

相手校は、リーグ戦ではもちろん、練習試合でも何度か対戦している。

戦績はお互い様な感じで、良い意味でライバル校だ。

でも、今日はなんとなく勝ちたい気持ちになった。

新しいマネージャーが入って、毎日頑張っているから、その頑張りに応えたいという気持ちが、少しあったからだろうか。

別に、かっこいいところを見せようとか、そういうんじゃなくて。

そうだなぁ・・・マネージャーいつも頑張っているから、君のいるチームは凄いんだぞって・・・俺、何考えてるんだろう。

とにかく、今日は勝つ!

試合会場に到着すると、なんかいい匂いがする。

マネージャーがメンバーみんなに弁当を作ってきてくれたらしい。

そんなマネージャーの心遣いにメンバーのテンションもあがり、いよいよキックオフ。

前半開始直後に先制点。

この勢いに乗って、ガンガン行くぜ!

試合は進むが、なかなか追加点が決められない。

さすがライバルなだけあって、俺たちチームを研究してきている。

ハーフタイムに、マネージャーがタオルを持ってきた。

俺は、マネージャーからタオルを受け取る時の何気ない言葉に元気をもらい、後半戦に挑んでいった。

しかし後半開始直後、味方DFのミスがかさなり相手にゴールをゆるしてしまった。

まだ、引き分け。

ここからが本当の試合!

お互い一歩も引かないいい勝負だった。

得点が入らないままロスタイムに突入。

ここで1点欲しい。

振り返ると、相手のFWが想定外の場所にいて不意を突かれた。

相手のゴールが決まった直後、試合終了の笛が鳴った。

試合には負けてしまったが、今回も良い試合で色々と課題出てきたので、明日からの練習も頑張っていこう。

そう感じていた。

片付けが一通り済み、メンバーみんなお待ちかね。

マネージャー手作りの弁当が並んだ。

メンバーみんなががっつて食べていく。

なくなりそうな勢いの弁当をつまみ、俺も一口。

お!うまい!

マネージャー、結構料理うまいんだな。

そういえば、周りを見渡すとマネージャーがいない。

気になって探しに行くと、陰でひっそり肩を落としているのが見えた。

マネージャーが悪いわけじゃないのに・・・本当にいい娘なんだな。

ジュースを買って、そっと彼女に渡した。

少し涙目の彼女の顔を見て、何かを言わなければと思ったが、弁当の感想くらい・・・・しか出てこない。

気が利かないな俺・・・

でも、彼女は笑顔でみんなの所に戻ってきた。

また、弁当作ってくれるかな。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る