第11話 いつも誰かのそばに

女子


私は、サッカー部のマネージャー。

ちなみに、最近マネージャーになったばかりです。

サッカーの事はよくわからないけど、遠くから見いているだけしか出来なかった、憧れの先輩がいる場所。

入部動機が不純ですみません。

そんな冷たい目をしなくてもいいじゃないですか。

好きな人のそばに近づきたい気持ち、わかってもらえますよね?!

部活に入って、先輩とはちょっとだけお話出来るようにはなったんです。

ほんの・・・少しだけ。

そんな私ですが、サッカーの事は本当によくわからないけど、なったからにはマネージャーとして出来ることは精一杯頑張ります!

動機が多少不純でも、やることはしっかりやるんですよ私。

そして、私は気づいてしまったのです。

現実と理想は、全然違う。

マネージャーって本当に大変なんです!

くさいし、荷物重たいし、忙しいし、雑用事は多いし・・・

結局、先輩と“普通のお話”は殆ど出来ない。

話す事といえば、部活に関係する事ばかり。

そりゃぁ私はマネージャーだし、先輩はレギュラーですもの。

しょうがない、事なんだけど・・・

先輩の好きな食べ物なんですか?とか、休日は何しているんですか?とか、映画とか雑誌とかどんなモノに興味があるんですか?とか、いろいろ気になっているのに・・・

聞きたいこと、たくさんあるのに・・・

それでも、他の子よりずっと近くにいられるから、なんとか頑張っているのです!

恋する乙女の純情は、ちょっとやそっとじゃめげないのです!!

そんな、ある日曜日。

今日は、他校との練習試合に行ってきます。

もちろん先輩はレギュラーですから、スタメン出場です。

先輩イケメンですし・・・すみません。脱線しました。

私はマネージャーですから、もちろん応援しに行くのです。

でもでもチームをというよりも、先輩を精一杯応援しちゃう悪い子です。

お弁当だって朝から頑張って作っちゃうくらい張り切りました。

一応、チームみんなの分もないといけないなぁと思っているのでたくさん作ります。

あ・・・少し、作りすぎちゃった。

食べ盛りのみんなには足りないよ・・・きっと。う、うん。

マネージャーとしては、チームが勝つとうれしいし、もちろん私が作ったお弁当をみんながおいしいって言ってくれたら嬉しいです。

先輩、おいしいって言って食べてくれるかな。

そんなこんなで、さぁ試合開始です。

前半開始早々に、いい感じで我らがチームの先制点!

みんな頑張っています。

私の応援にも力が入ります。

その後お互いに得点が決まらずハーフタイム。

私は、みんなにタオルと一緒にエールを渡してまわるのです。

これも、マネージャーの大事なお仕事。

ハーフタイムが終わり、後半戦開始!

さぁこれからです!と思った直後、敵チームにゴールを決められてしまった。

まだまだ同点!

試合はこれからです!

みんな、がんばって!!

お互いゆずらなず、手に汗握る戦いが続いていきました。

最後の最後のロスタイム・・・・

敵チームがゴールを決めて、逆転されてしまいました・・・

試合に出てなかったのに、練習試合ですが、なんだか悔しいです。

マネージャーとしては、笑顔で迎えなくちゃダメですよね。

片付けが一通り終わり、みんなに元気になってもらいたいので、朝から頑張っていっぱい作ったお弁当の時間です。

チームのみんな、おいしく食べてまた頑張ろう、的な・・・

みんなが、お弁当で元気になってくれたらうれしいです。

でも、やっぱり悔しいです。

みんながお弁当を食べてくれている横を抜けて、陰でひっそり悲しんでいる私のほっぺに突然冷たいモノが!

びっくりして振り返ると、先輩がそっとジュースを持ってきてくれました。

色々、驚きです。

驚きすぎて、私の目が丸く開いたまま瞬きを忘れてしまったようです。

固まっている私に、先輩は冷たく冷えたジュースを私に手渡すと、お弁当おいしかったよって言ってみんなのところに走って行ってしまった。

先輩・・・

今度は、先輩の為だけに作ってきてもいいですか?

先輩からもたっら冷たいジュースが、温かい気持ちに染みわたります!

私は、ニヤけた顔のままみんなの元に戻った。

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