第3話 春の連休前
女性
今年で私もとうとう28歳。
来年は29になっちゃうんだよな~・・・
今まで仕事一直線。
一直線の大きな通過点である三十路がもうすぐになってきた。
は~・・・もうため息しか出ない。
そんな私だけど、一応彼氏がいないわけではない。
でも最近、浮気されているような気がする。
LINEを送っても未読か既読無視。
その割に、向こうからはキャンセルやら予定はどうだとか、気分次第で連絡がくる。
もうすぐ連休なのに予定も決まってない。
なんだかなぁ~・・・
どうせ、仕事がどうとか理由付けて、浮気相手とよろしくやる予定なんだろうけど。
よろしくっておっさんか私・・・
『一応彼氏』って肩書きくらいでしかないから、もう別れてもいいのかな・・・
そんな余計な事考えてると、顔が一気に老けそうだし、どうでもいい話は置いといて、まずは連休前のこの忙しさを片付けなくちゃ。
春って、なんでこう無駄に忙しいんだろう。
普段の仕事に加え新人の教育係もしているせいか、毎日があっという間にすぎてしまう。
仕事以外何も考えられない。というか、考えたくない。
それが調度いいのかもしれないけど。
それでも今日の昼休みは、久々に一人でゆっくり食事する事ができるのです。
せっかくだし、前から気になっていたラーメン屋さんに行くしかない!
人気店です。行列ができるくらいの人気店です!
これはこってり元気付けて今日を乗り切るしかないでしょ!
とはいえ、さすが最近人気のラーメン屋さん。
店に入るのも時間がかかる。
やっとのことで店に入っておすすめを注文。
出てくるのを待っていると、見覚えのある顔が隣の席に案内された。
え…………私が教えている新人君だ………
なんでこんな所で会ってしまうのだろうか。
なんだか気まずい。
その新人君が話しかけてきたけど、さらっと流してしまった。
別にイラついているわけじゃないの。
ただ、いろいろ疲れていて、いろいろめんどくさくなってるだけなの。
ごめんね。
君は悪くない。
私って小さい人間だな・・・
新人君も空気読んで気を使ってくれているのか、ほどほどに簡単な話をし、私はラーメンを食べ終わってすぐ会社に戻った。
ラーメンは…おいしかったと思う。
せっかくの、ゆっくりとそしてガッツリな昼休みだったのに。
とぼとぼ会社に戻ってふと気付いた。
さっきの新人君がまだ戻っていない。
最近の若い子は時間にルーズ過ぎる。
そもそも、あの時間であのお店って・・・
イライラしながら待っていると昼休み終了ギリギリに新人君は戻ってきた。
そして、何か袋をもっている。
このタイミングで買い物?
いい度胸じゃない!
あまり怒りすぎても後が面倒なので、なだめるように叱った。
とはいえ、内なるモヤモヤが晴れないからストレスになってるんだけど。
一応新人君は反省しているようなので仕事を再開しようとした時、手提げの袋を私に渡してきた。
ん?
まったく状況が読めない中袋をあけてみると、薄手のカーディガン。
意外とセンスも悪くない。
いやいやそうじゃなくて、これは何かと聞くと、そっと小声で、私のシャツが汚れていると教えてくれた。
さっきのラーメンか・・・失敗した。
午後には大事なプレゼンもあって勢いつける為に食べたのに大失敗。
全く気付かなかった・・・
色々恥ずかしくなったが、ひとまず感謝してそれを着る。
着たあと新人君が、恥ずかしそうな笑顔でこそっと、似合ってるって。
私は何食わぬ顔で、新人君に背を向け仕事に戻る。
あーー・・・色々な意味で恥ずかしい。
穴があったら入りたいってこういうときに使うんだよね。
でも、優しくされたのが久しぶりだったせいか、私は顔が赤くなり、新人君の顔が見られなくなった。
こういうのって・・・あり?
なにこの無駄なドキドキ感は?
よくわからないドキドキで混乱していると、ピローンと彼からまた来たメッセージが届いた。
どうせ余計な事しか送ってこないだから無視しとこう。
久々の優しさって、くすぐったいんだね。
ねぇ、新人君?
私は、いい上司でやっていけてるように見える?
私って、ちゃんとやれてるのかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます