第10話 抱える問題
少年は、先程着いていっていた傭兵団に、今日の予定を聞きに行こうとしたが、断られてしまった。鎧の仲間にニンジャーの仲間も暇だし着いていこうと言い出したためだろうか。身長はともかく、フルフェイスヘルメットみたいな防具やマスクを外した二人は、とにかく幼い顔つきだったとかで、それも断られた要因だろう。
結局少年は、休日をだらだら過ごしてしまうのだった。宿でトランプをしたり、女の子組の買い物に付き合ったり、初日のようのごっこ遊びの力試しに付き合ったりだ。
女の子の中には今回の休みに大人になった人も居たみたいで、色々変化を遂げたのだ。
して。今回の一番の厄介事を持ってきたのは少年と忍者コスプレの仲間に鎧の仲間だった。言わずもがな、ドラゴンの件だった。色々戦闘の際に、滅茶苦茶に壊していた。
黙って姿を消せば、バレないと思っていたが普通にばれていたらしい。
請求とかややこしい事は、全てリーダーが処理していたようだった。
「すまねえ団長。迷惑かけた」「ごめんなさい」「悪かった。反省してる」と口々に謝罪の言葉を口にする。しかし、問題はそこでないという。
入団希望者が押し掛けてきたのだ。
今まで仕官していた傭兵団の地位から全てを投げ出して、この冒険団に入りたいという者を断りきれずにいた。リーダーはそういう性格なのだ。
保留ということにしていたが、どういうわけか、勝手に話が進んでいた。
「そんな話、こっちは聞いていない!」とリーダーが言うが、入団希望者も話が違うとわめくのだ。「副団長と直に談判、判断してもらった」と口々に言うのだ。
明確な肩書きを持っているのは団長だけだ。後は団員達が内心でそう決めつけているだけに過ぎない。故に、団員達が役職について自称するのはあり得ないのだ。
疑問を持ちながら、話が収まらなくなると判断し、入団を認めた。
休暇を経て、問題は増えた。
「ごめんねごめんね。二度としないから許して。また前みたいに仲良くしたいの!」と女性の団員が、鎧の仲間にひたすら謝っている姿を見かけた。仲が良かった団員達にも溝ができていたようだった。
「ゴウ! これだけ謝っているんだから許してやれよ!」とリーダーもいさめようとするのだ。しかし「許すも何も、団長、おれおれおれ、あわわわ」と鎧の仲間は話にならないのだ。
「寝てるときにキスしたりしないから! 抱き付いたりもしないし、好きって言わないから、前みたいに仲良くしてほしくて!」
「あわわわ」
「……」「男女分けれるように、テントの購入数増やしてるからリーダーは心配しなくて良いよ。魔法の鞄も、最優先に作ってるから」と少年。成長につれ、男女の違いが出始めてしまった。
「あのガキが配当金を管理しているってどういうことだ!」「シャドウが、役割的には副団長だ。今まで異存が無かった。文句が有るなら出ていってくれ」「シャドウゼロとガキに何の関係がある!」「俺らにはジャックがシャドウなんだよ。紛らわしいな」
「行く先についてだが、いつもくじや気分で決めているそうではないか。そんな判断で良いのか団長」「気ままな旅を前提に動いているんだ」「若い連中の気分で決定されると思うと、途端に面白くない」「どうすれば納得する?」
「やった! 俺らでワイバーン倒した!」と喜ぶ新参。一方で馴染みの団員達は落ち込んでいる。怪我人が三人も出たのだ。一回の戦闘で、これほどの被害が出たのははじめての事だった。
「何でお前が喜んでいられる! 庇って大怪我したのに!」「何をお前らは怒っているんだ」
新参との意識の違い。これも大変だった。
「団長、これほどにないほどジャックさんに負担が掛かってる」「わかってる」
問題がはっきりしているのに解決策が浮かばない。リーダーも不安に感じていた。
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