第72話 決着

シムルがデモンプキンを喰らい、船外へ出て巨大化したおかげで

結果としてネフィリム号を奪還し鎧も取り戻せた。


「息子達の乗る船から、汚れた手を離せ!!」

ブライドグルームに変身した勇一が、キマイラカイザーから超高熱火炎

を発射してシムルの手を焼く!!


その攻防により、文字通り敵の手を逃れたネフィリム号。

船を取り戻し変身した3代目オリバーと相棒のユニー、そして薫が

ネフィリム号に残ることになる。


「薫ちゃんが、ネフィリム号の艦長に登録されちまった!!」

船そのものが天界の鎧を継承した薫を主人と認めたのである。


「ヘル、俺達はどうするんだ?」

変身を解いた元気が聞いてくる。


「問題ない。メイ、俺達を呼び戻してくれ!!」

テレパシーでメイに呼びかけると薫以外の魔王部は全員

キマイラカイザーの中に転移していた。


「・・・・・・何だろう、凄く気持ちが良い♪」

魔界の力が満ちるキマイラカイザーの中で、リラックスのあまり変身が解け

てデーモンブリードから進太郎に戻る。


「「お帰りなさいませ、殿下♪」」

メイド達が進太郎にしがみつく。


「お帰り、進太郎♪」

父であるブライドグルームも変身を解いて迎える。


「・・・・・・まって、戦いは終わってないわよ!!」

かぱ子がつっこむ。


そう、戦いはまだ終わっていないのであるのだが

「問題ございませんわ、皆様お茶をどうぞ♪」

メイがお茶を淹れて振舞う、まるで戦時中のイギリス艦の如き光景である。


そして、お茶を飲んだ全員から闇が噴き出した。

「デモンプキンのお茶でございます、元気爆発になられますわ♪」

メイも闇を噴き出しながら笑う、魔王部一行は全員属性がダークになった。


乗員から溢れる闇のエネルギーは機体が吸収し、機体を癒し大きく変形させる。

その姿は、乗組員の変身後の顔が手足や胴体に頭部を構成する異形であった。


「父上、席を替わります。さあ、行くぜ皆!!魔界パワー全開だ!!」

進太郎が席に着いたことで、キマイラカイザーも急速に動き出す。


反対にネフィリム号は、難儀していた。

「・・・・・・嘘、こっちの兵器が使えない!!」

薫が焦る、本来の機能が蘇ると共に天界人への反乱防止機能まで

蘇ってしまったのだ。


「仕方ない、退くんだ薫ちゃん!!」

オリバーの指示でロボット形態から戦艦形態へ変形し

地球防衛線へ彼女達は転進する。


それと入れ違いにキマイラカイザーが、シムルへと突撃する!!


河童の頭になった右手甲の河童の皿がチェーンソーと化し

敵の腹を切りつける!!


シムルが口から吐いたビームは、右肩の銀色の女性像が受けて弾いた。


互いの力をぶつけ合うシムルとキマイラカイザー。

その攻防も、終わりの時が来た。


「魔界、天界、人間界、三つの力を受けてみろ!!」

改めてデーモンブリードに変身した進太郎が叫ぶ。


「かぱ子と元気、私達が人間界。」

こまがつぶやく。


「私が天界ですね~♪」

アイリーンはのんびりだ。


「そう、そして魔界が俺!!世界を逆恨みした奴なんかに負けん!!」

それは本音、世界を愛して守ろうとする者達と世界を憎み滅ぼそうとする者。


どちらに世界が微笑むかは瞭然であった。


「行くぜ、友達よ!!我らが暮らす世を守るために!!」

アイリーンと元気の手を握るデーモンブリード。


「おう、やってやる!!」

元気が握り返す。


「良いですよ~♪」

アイリーンも握る、デーモンブリードの手から煙が出るが無視。


「私達もいるわよ!!」

かぱ子も、こまも手を重ねる。


「友情ゲージマックスです、暴走します!!」

エティが叫ぶ!!


「それでいい、断罪の時間だ!!三界暴走トリニティアタック!!」

デーモンブリードが技の名を叫ぶとキマイラカイザーから


天界を現すアイリーンの変身後のようなエネルギー体。


人間界を現す元気とこまとかぱ子の変身後が混ざったエネルギー体。


そして、魔界を現す星空の魔神のエネルギー体が顕現する。


3つの巨大なエネルギー体が、シムルを襲い爆発する。


故郷を追放された天界人シムルは、野望半ばで消滅した。


こうして、太陽系を騒がせたシムル事変は幕を閉じた。





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