第68話 魔王と末裔

シムルが天界の鎧を取り込んで融合しかけた時、鎧から紫電が迸り

シムルを弾き飛ばした!!


天界の鎧から、意味不明な模様の羅列に見える天界の文字が浮かび上がる。


「・・・・・・ばかな、天界人の私を拒絶だと!!」


驚愕するシムルの眼前に更に赤い色の天界の文字が浮かび上がる。


「勇者オリバーとその一族にしか着れないだとっ!!」

天界の鎧には、悪用を防ぐ為のセキュリティがかかっていた。

そして、鎧だけでは天界へは行けずトゥームシップが必要であると

天界の文字が告げていた。


「・・・・・・おのれ、天界、そして人間ども!!」

シムルは激昂し、オリバーの末裔とトゥームシップの入手を決意した。


一方、地球のヘルグリム帝国大使館では本国から戻ってきた進太郎が

領事館襲撃と、星雲警察博物館襲撃に愕然としていた。

「・・・・・・帰ってきて早々事件ですか、家も被害者なんですけど?」


リビングでヒーローの大先輩であるギャラガーこと、愛南情あいなん・じょう

に尋ねる進太郎。

「ああ、その事は承知している。その上で進太郎君、君達の力を貸して欲しい。」

55歳と思えない程、精悍で濃く猿っぽいの顔つきをしたイケメンが頼んでくる。


愛媛と宇宙のスーパーヒーローにして大先輩の頼みは断れない。

「で?盗まれた物や犯人の目星は付いているんですか?」


大先輩に尋ねる進太郎、目の前の人物の捜査方法は足であちこち出かけて

「貴様、ヴィランだな!!」と直感で突き止める動物的な事で評判だ。


「盗まれた天界の鎧は、勇者オリバーが天界人から授かった秘宝だ。」

その言葉に、苦い顔になる進太郎。


「黒幕は、天界、魔界、人間界の全てに精通しており次に狙われるのは

勇者オリバーの末裔とこれも天界の遺跡だが現役艦のネフィリム号と推測される。」


ネフィリム号、天界人より授けられた秘宝で戦艦形態、ロボット形態、砲形態の

3変形するスーパーマシンで1万年以上も現役で使用されている。


現在では3代目に当たる星雲刑事オリバーの旗艦である。

「ネフィリム号は存じておりますが、末裔と言うのはどなたで?」


何かやたらと多そうである、自称も含めて。

「その末裔は君と同じ学園に通う、百地薫ももちかおるちゃんだ。」

ギャラガーの言葉に、顎がガクンとなる進太郎。


百地薫、師匠である百婆の孫娘で二つ隣のクラスに在籍している。

ボビナム同好会を主催しており、弟弟子にあたる元気と進太郎に

掛け持ち入部を依頼し自身もまた魔王部に在籍している。


「彼女の父親は、勇者オリバーの末裔でもある二代目オリバーだ。

彼女の護衛と保護を頼みたい、そして黒幕がでた時は共に戦って欲しい。」


ギャラガーの言葉にため息を付いてから

「はい、微力ですが全力を尽くします。」

と答える。


その時、呼び鈴が鳴り

「やっほ~♪進太郎君、遊びに来たよ~♪」

宿命を知らぬ勇者の末裔の少女が、ヘルグリム大使館を訪れたのであった。









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