第67話 シムルの野望

チュチューが奪ってきた金色のギリシャ風の胴鎧を見て、悪の天界人シムル

は笑っていた。


人間の姿から白い陶磁器の羽のない天使と言えるような、異形の姿に変身する。


天界宇宙群、人間界側から見ると神という概念に当たる存在がいる無数の世界で

構成されている宇宙の総称。


人間界の宗教で信仰されている神々とは異なる外の神々、それが天界人。


天界は概ね光あふれる世界だったり、空の上と言うような世界であったりする。


共通している事と言えば、どの世界も光を愛し闇を嫌い魔界の存在を憎悪し

宇宙の始まりより敵対し続けている事。


自分達の世界からでる事を好まず、他の世界にほとんど干渉しない事が挙げられる。


アイリーンの世界、銀色の巨人達の国『ジガンテ』はヘルグリム帝国に攻め込んだ

異例すぎる存在と知られている。


シムルのいた世界も、かつて1万年前に人間界に干渉し星雲警察の祖と呼ばれる

バーグ星人の勇者オリバーに天界の鎧などの武具を授けた。


シムルは天界からの追放者だ、彼は革新的な兵器開発の科学者だった。

天界も人間界も魔界も自分達が支配しよう、それが彼の抱いた野心。


だが、革新的であったゆえに彼は異端者とされた。

シムルの世界は、外界への干渉を良しとしなかった。


勇者オリバーに武具を与えたのは、当時地球を含む人間界を侵略していた

魔界のジャーマ帝国が天界にまで魔手を伸ばしたからだった。


シムルは現代より3千年前に捕らえられ、ゲートを開いて次元を移動する

器官である羽を破壊され人間界へと追放刑に処された。


シムルは己の世界を憎んだ、何としても帰って復讐すると誓った。


そのために天界の鎧が必要だった。


天界の鎧は、人間界のものにはオーパーツでしかないが天界の科学者であるシムル

は鎧の秘密を知っていた。


天界の鎧には、次元を超えてテレポートできる機能が搭載されていたのだ。

シムルが鎧に触れると、スクリーンが浮かび上がり様々な世界が映し出される。


それは鎧の記憶、インターネットの閲覧履歴に似たものであった。

「・・・・・・見つけたぞ、わが故郷。・・・・・・これで帰れる。」


シムルは表情をベネチアの仮面のようにして笑った。










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