第14話 土曜日は魔界の車窓から

土曜日、休みの日のはずだが俺と仲間達は学校の校長室に呼び出されていた。

サミュエル校長は、明らかに機嫌が悪そうだった。

「問題児諸君、何故呼ばれたか理解しているかね?」

真面目な生徒である俺達を問題児呼ばわりは無い。

「お言葉ですが、私達は日々勤めを果たしています。」

かぱ子さんが、校長に食って掛かる。

「学園への報告義務を果たしていない!!何だあのカボチャは!!」

どうやらパンプキンカイザー召喚が気に食わなかったらしい。

「同盟者であるこの世界を守る為の帝国の巨大兵器です、大使館は空域の含めて我が国の領土です何も問題ありません。」

俺ははっきりという、校長がアメリカ政府から派遣されてるだろうとはいえ

悪いのは巨大ロボを配備していない学園で生徒が自主的に活動して何が悪い。

「・・・・・・神の使徒である私に、悪魔を信じろというのか貴様は?」

校長がブランド物のスーツからスパイっぽいコスチュームに早変わりして

虚空から巨大な十字架を取り出した、あかんこの人。

「あんた、俺達の校長先生だろうがよ何で生徒を信じねえ!!」

元気が体から炎を燃やし叫ぶとその熱で床がへこみ倒れる。

「熱意だけでは空回りだ!!」

校長の返答は物理的に正しい。

「お言葉ですが、私は天界側を代表してヘルグリムさんを信じますわ。」

アイリーンが叫ぶ、彼女の素性を知る校長は数秒黙った後でレポート提出を条件に

許可を出し敵の前線基地と怪獣の撃破を命じた。

だから神の使徒ってのは、嫌なんだ。

その夜、仲間達を我が家に集めて全員の掌にパスポート代わりだと言い

帝国に入ると浮かび上がる大使館職員スタンプを押した。

このスタンプはパスポートの他、電子マネーなど多くの機能が込められている万能の身分証明証で時代劇の水戸の老人の印籠より待遇は手厚い。

と、自分でナレーションをしていたがナレーターさんに解説をタッチ。

大使館地下にある扉を開けると、そこは永遠に空が夜の星空の世界ヘルグリム帝国。

皆が立つ場所は、1920年代アメリカ風の鉄道の駅であった。

「ようこそヘルグリム帝国へ、ここは地上大使館駅。ここから列車で軍事基地へ移動する。」

進太郎が仲間達に話す。

「ロボなら昨日みたいに召喚すれば良いのに?」

こまが疑問を口にする。

「島の地上にパンプキンカイザーは狭いし、戦えば島の人たちに迷惑が掛かる。」

条約で、可能な限り人間界に迷惑をかけない決まりなどを説明する進太郎。

「では、どうロボで戦うのですか?」

アイリーンが聞いてくる。

「それは車内で話す、まあ少し観光していってくれ。」

指を鳴らし、進太郎が機関車に牽引されたレトロな列車を呼び出す。

「普通のデザインなのね、機関車なのが古臭いけど。」

かぱ子がつぶやく、人間界の皆様に引かれないよう国一丸で頑張りました。

無料だと言うと、元気やアイリーンは車内で茶菓子や弁当を食いまくる。

こまは寝こけつつと、仲間達に好きにさせつつ列車は進む。

進太郎がざっくりと説明したことは

・敵をこちらに引きずりこんで帝国内で叩く。

・戦場は帝国内の古戦場、何もない荒地なので平気。

の二点。

そして列車は基地のある駅に止まる。

そこは、広い滑走路と巨大なかまぼこ屋根の建物と簡素な作りであった。

駅を降りると基地のゲートに出陣式会場と書いている。

滑走路の真ん中には巨大な4頭立てのカボチャの山羊車が鎮座していた。

進太郎一行をツナギを着た錦鯉風の半魚人と、顔面全体にネジの刺さったスーツ姿の大男と軍服を着た人狼。

そして三つの種族が混ざった報道陣が出迎える。

「お待ちしておりました殿下とご学友の皆様、出陣の準備は整っております。」

錦鯉たちが恭しく一礼し、鋏を進太郎に手渡したので進太郎が受け取ると

報道陣が撮影を開始する。

「・・・・・・出陣式か、だから私達に制服で来いと言われたんだな。」

パンプキンカイザーの飾り付けられたテープを進太郎が鋏で切ると報道陣から

歓声が上がるので一行は手を振る。

簡易的な出陣式を終えると、パンプキンカイザーからビームが放たれて

進太郎達は自動的に操縦席へと乗り込んでいた。

センターの席に座った進太郎が「パンプキンカイザー、発進!!」

と叫ぶと白と黒の山羊メカが立ち上がる。

起動したパンプキンカイザーは、報道陣に見送られ戦場へ空を駆けて行った。












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