第4話 5人目の仲間

すったもんだの末、家を出た進太郎は自分の体の調子が良いことに気が付く。

「・・・・・・まずい、魔界飯のせいか体の調子が凄く良い。」

立ち止まり息を長く吸い、ゆっくりと吐くと進太郎の体からどす黒いエネルギーが

燃え上がるように放出され彼を包む。


「何かが開放された気分だ、体がうずく。」

目覚めた力を使いたい、そんな気分に心があふれる。


その場でしゃがみ、背中に意識を集め闇のエネルギーを集める。

進太郎は、背中に闇でできた蝙蝠の翼が生えるのを感じると同時に

跳躍し翼を羽ばたかせ空へ飛び出す。


空へと飛び出したことで、理性が戻る。

「まずい、調子に乗りすぎたゆっくり行こう。」

炎が噴きだすような音を羽ばたかせ、ゆっくりと飛ぶ。


一般の住民に目撃されれば、会釈をして挨拶をしつつ進む。


「まったく、ヒーロー学校の学生さんは派手だね。」

そんな、近所の老婆の声を聞きつつ迷惑にならないように

飛ぶ進太郎は目下に同じ学校の制服を着た女子生徒を見つける。


女子生徒の動きは体調が悪いのかふらついている。


これはまずいと判断した進太郎は、女子生徒のところに舞い降りる。

「おはよう、初めまして俺は進太郎・赤星・ヘルグリム君は誰。」

と名乗りたずねる。


「・・・・・・うう、眠い。朝がつらい、歩きたくない。」

進太郎の問いに黒髪の小柄な少女はつぶやく。


「良かったら、玄関まで運ぼうか?」

と進太郎がたずねる。

少女が、頼むとうなずいたので少女の手を取り再び空を飛ぶ。


「ヘルグリム君、鍋島なべしまさん?何やってるのっ?」

下から川原さんの叫ぶ声がする。


「おはよう、川原さん。この子を運んでるところだよ。」

川原さんの口から少女の名字を知る。

約束どおり鍋島さんを校門前で下ろす。


「ヘルグリム君、鍋島さんっ!!」

川原さんが怖い顔で走ってくる。


「おはよー、かぱこ。」

鍋島さんが、だるそうに川原さんに挨拶をする。

「かぱこって言うな、それとしゃきっとしなさい!!」


「待ってよ、川原さんどうしたの?」

進太郎は、川原さんの剣幕に驚く。


「・・・・・・はぁ。あのね、鍋島さんが寝坊で休んだ5人目なの。」

あきれと疲れた声で川原さんが説明する。


「・・・・・・ああ、知らなかったけどお疲れ様。」

空気を読み、川原さんをねぎらう。


「・・・・・・眠い、ヘルグリム君はありがと。かぱこはまたな。」

鍋島さんは、空気を読まず保健室へと走り去っていった。


「・・・・・・凄い元気だな。」

鍋島さんにあきれる、進太郎。


「こらっ、きちんと教室に行きなさい!!」

そんな鍋島さんを川原さんが追いかけて行くのを眺めつつ

進太郎は教室へと向かうのであった。


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