第3話 黒い食卓

昨日は、人間界で初めての友達が出来た進太郎。

自分の部屋の六畳間の和室で目覚めは、さわやかだった。

「殿下~♪ 起きないと、私達でお着替えさせちゃいますよ♪」

赤毛の人狼メイド、アニーが起こしにやってくる。


「起きてるから、自分で着替えるから。」

返事をすると部屋の外でチッ!!とアニーが舌打ちする。


「いや、ちょっと待てっ!!何の舌打ちだっ!!」

急いで制服に着替え、部屋の戸を開けてツッコむ。

このままでは貞操の危機だ。

「・・・・・・しくしくしく、殿下が側室の私達につめたいです。」

アニーがわざとらしく嘘泣きをするのは放置する。


「まだ初恋もしてないわっ!!・・・・・・大体側室って、なんだよ。」

ぼやきながら一階のリビングへと向かう。


「おはようございます殿下、お食事のご用意は整っております♪」

ビクトリアメイド姿の人魚メイドのメイが恭しく挨拶する。

「おはようメイ。で、飯は何?」

とたずねつつ食卓に着く。


紫の肌のフランケンメイドのフランが、茶碗にご飯をよそい小鉢に

なにやら黒いドロドロとした物体をよそう。

「ちょっとまて、フランッその黒いのはなんだっ!!」

自然によそうので、スルーしかけたがツッコむ。

「・・・・・・殿下、これは魔界の食材ブラックジェルスライム。」

フランが何を言っているのだろうと言う顔を向けている。


「いや、それは俺も知ってるが何で朝から魔界食材が出るんだよっ!!」

人間界に暮らしているのだから、人間界の物を食いたい。


「殿下~♪好き嫌いは駄目でちゅよ~♪」

アニーが背後から抱きつき進太郎をあやす。

「ええい、やめろアニーッ!!」

叫ぶ進太郎の頭を、アニーが大きい胸ではさみつつ羽交い絞め。

「・・・・・・殿下、この家は魔界の大使館なので魔界でもあるから不思議じゃない。」


フランが、味噌汁を入れる容器に黒いダークマター汁を注ぐ。

「そうですよ、魔界食材を食べて神聖魔法などに耐性をつけませんと。」

とメイもアジの干物に黒い液体、これは醤油をかける。


「お弁当は、人間界の物ですから早く朝ごはんを食べましょうね♪」

メイが、眼鏡を光らせ暗示をかけて進太郎の口を開かせて

箸で料理を掴み進太郎に食わせる拒否権は無い。


「私達の愛情もたくさん召し上がってくださいね♪」

進太郎への羽交い絞めを解いてアニーも食べさせる。

スライムは甘さと酸味が混ざったもずく酢、ダークマター汁は

薄い塩味が利いているのを舌に感じつつ進太郎は朝食を摂らされた。


その後、暗示をかけられたままメイド達に歯磨きや肌の手入れや荷物の用意をされて

進太郎は学校へと送り出されたのだった。









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