第2話 夜の訪問者と友達
かくして、入学式初日に早退するはめになった進太郎。
意識を取り戻すとそこは、ピンク色のタイル張りのピンクの風呂場だった。
通常は湯が入っている浴槽は、どす黒く何やらドロドロとした液体が浸されており
自分は全裸だった。
「・・・・・・どうしてこうなった。」
自分の記憶では、校長先生のスピーチの後教室に行き臨席のクラスメートに
挨拶をしようとした所に神聖魔法が顔面直撃したまでは覚えている。
「殿下~♪ダークマター風呂のお加減は如何ですか~♪」
ドア越しにたたずむ影と声からメイドのメイだとわかる。
「・・・・・・メイ、俺はどうして家に帰っているんだ?そして誰が脱がせたっ!!」
自分がどうなったかもだが、年頃の男子として裸を女性に見られる方が気になった。
「学校から、神聖魔法を受けて倒れられたとの事でフランが早退の手続きをして
殿下をお連れ致しましたわ♪」
とメイの声がする。
「わかった、脱がせたのは誰だ?」
と進太郎が尋ねるとメイが
「勿論、私ども三人でお脱がせしてじっくり堪能させていただきました♪」
と言ってきた。
「堪能したって、何したんだお前らっ!!」
恥ずかしさマックスである。
「ビデオカメラで隅から隅までじっくりと、体つきや成長具合を撮影と
確認させていただいた後に女帝陛下へ提出させていただきました。」
と明るく言うメイに
「裸を撮影されて母親へと送りつけられるって、どんないじめだよ!!」
と激しくツッこむ、見られた色んな所見られてしまった。
「女帝陛下からも、良い体つきに育ったとお褒めの言葉をいただいておりますよ♪」
・・・・・・そんなほめ言葉いらねえっ!!
心の中で進太郎は叫んだ。
「・・・・・・殿下、本国から変身ベルトが届いたよ。・・・・・・やったね♪」
ドアの向こうから低いトーンで明るい声がする、脱がせた犯人その2の紫の肌に頭にネジのついた美人メイドのフランだ。
「やったね、じゃねえよっ!!」
腰の周りにドロドロとした、ダークマターをパンツのようにまとわせて叫ぶ。
「女帝陛下からも、ご褒美として殿下に側室として嫁ぐお許しをいただけました♪」
と明るくはしゃぐメイ。
「・・・・・・・殿下と私達、ずっと一緒♪」
恥ずかしそうにつぶやくフラン、と言うか側室とか勝手に決めるな故郷の母っ!!
「んな事はいいから、風呂上がるから出て行けお前らっ!!」
叫んで立ち上がり、ダークマターを張り付かせたまま湯船から出る。
ドアを開けて洗面所に出ると替えの下着と服が置いてあったので着替える。
そして、リビングに行くと三人のメイド、人魚のメイ、頭にネジのついたメタル族
のフランに赤毛の人狼のアニーと三人がお茶と菓子の用意をしていた。
「殿下、そういえばお客さまが来られるそうですよ。」
アニーが口を開く。
「言いたいことは色々あるが、客って誰だ?」
進太郎が首をかしげるとフランが
「・・・・・・殿下の、クラスメイトの男の子と女の子。」
と言うが自己紹介する前に早退したのでわからない。
玄関でリンゴーンと来客用のベルがなったので
「いらしたようですわね、お出迎えに行きましょう殿下♪」
とメイが進太郎の手を引きその後をフランとアニーが付いて来る。
玄関のドアを引いて開けると、そこには学校の制服を着た
赤毛の少年と金髪の垂れ目の少女。
そして黒髪でおかっぱ頭の女の子の三人が並んでいた。
「・・・・・・えーと、初めましてだよね?とりあえずいらっしゃい。」
と言って迎え入れる。
「お邪魔しまーす」と声を揃えて入ってきたクラスメートをメイド達が
「いらっしゃいませ♪」と招き入れてリビングへと案内する。
そしてソファに三人の客人を座るように勧めてから進太郎が切り出す。
「自己紹介とかする前に早退したけど、進太郎だよよろしく。」
と挨拶する。
「俺は赤井、赤井・
と赤毛の少年、元気が言うので
「ありがとう、助かったよ。」
とお礼を言う。
「私は、昼間は申し訳ございませんアイリーン・バウアーと申します。」
金髪で垂れ目の美少女、アイリーンが謝罪と自己紹介をする。
「・・・・・・痛かったけど、次は気をつけてくれれば良いよ。」
と返す。
最後におかっぱの女の子が
「私はクラス委員の
と言って
「ああ、よろしく川原さん。」
と返して自己紹介を終える。
「で、プリントとか届けに来てくれたの?」
と進太郎が三人に聞く。
「ああ、プリントや資料はメイドさんに渡したぜ。
クラスで俺達、一緒のチームになったからこれからよろしくな♪」
と元気が言うので
「えーと、チームって中学でもあった遠足とかの班ってこと?」
と聞いてみれば川原さんが
「その班でもあるし、私達4人はヒーローチームを作るって意味もあるの。」
と答える。
「ああ、戦隊みたいなの?あれって五人が基本じゃなかったっけ?」
と聞き返す、父親が戦隊ヒーローだけあって理解は出来る。
「5人目の子は、私の幼馴染なんだけれど寝坊で欠席したのよっ!!」
川原さんがキレる、この子苦労しそうだなと川原さんを見て思う
進太郎であった。
「私も同じ中学校でしたが、とにかくよく寝る方なんです。」
とアイリーンが言う、その人もあなたも不安ですと進太郎は言いたかった。
「ああ、あいつかでも頭は良いんだろ。」
と元気が言う、どうやらある程度の知り合いみたいだ。
「なんか、いいなそういうつながりって俺はほとんど魔界暮らしだから
こっちに友達っていないんだ。」
と進太郎は言う。
「何言ってんだよ、俺は小さいころ会ってるぞ。」
と、元気が驚きの発言をする。
「・・・・・・そうだっけ?」
思い出せない。
「5歳の時、お前の親父さんとお前この島に来てただろその時ここで一緒に遊んだの忘れたのかよ?」
元気にそういわれてなんとなくだが、こちらに来た時を思い出す。
「そういえば、まだ日本家屋だった頃に近所の子が来て遊んだような。」
うろおぼえだがそんな気がする。
「まあまあ、これから関係を作っていけば宜しいではないかと神様が
赤井さんとヘルグリムさんを引き合わせてくれたのですわ♪」
アイリーンがいい笑顔で、両手を組んで神にお祈りをしようとする。
「お、お祈りは止めてぇっ!!」
それをあわてて進太郎が止めに入る。
アイリーンの神聖魔法は、お祈りくらいでも自分には凶器だと感じたからだ。
「あら、失礼致しました。」
アイリーンが両手を解く。
「ふう、助かった。俺は神聖魔法は苦手なんだ。」
安堵する進太郎。
「大変なのね、魔界人って。」
川原がクッキーを食べつつ呟く。
こうして、進太郎に仲間と友達が出来たのであった。
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