第14話 美のカリスマデビュー

 美咲に拉致された形で全身磨きをかけられた恵子は、持ち前の美貌にハーフのスタイルが一段と輝きを増してエステシャンでさえ息を呑む出来映えとなった。

『素晴らしい!恵子ちゃん、子供を産んだなんて全くマイナスになってないわよ。むしろ女性としての憂いと色気が増した感じ。これは男が放って置けないわね。このまま何もしないなんてもったいないわ!うちの専属モデルになってくれない』と美咲が抱きついた。

『どうせ、仕事しないとつまらない人生よ!このまま引っ込んでいるなんて恵子ちゃんらしくないもの。今まで無駄にした分も明るく日の当たる世界で羽ばたいてみなさい。葉月ちゃんだって、お母さんが元気な方が嬉しいはずよ』

鏡に映った自分の姿に見惚れていた恵子は、

『美咲叔母さま、私にもまだできる事があるかしら』

『もちろんよ!私が目指している女性も男性もコンプレックスをなくして、人生を楽しむ事ができるようにトータルビューティーを目指すサロンを作る。その旗印カリスマ伝道師になって欲しいの。苦労をして来た貴女だからきっと救くえる人が多いと思うのよ』

ちょっと叔母さまに乗せられているような気もする恵子だったが、それでもこうして百合崎家に戻って来れたのも神様の思し召しかも知れないと美咲に頷き返すのだった。

『それじゃ、早速だけどこの間葉月ちゃんと親子で大変身した動画をアップしたら物凄い反響があってね、恵子ちゃんのボディメンテナンスとか食事とかそう言うトータルビューティーにかける動画撮影の企画が目白押しなのよ。その合間に雑誌撮影も入るからよろしくね。スケジュール管理はうちの事務所でするから安心してね』と全てが決まっていたみたいで鬼興行師に騙されて売られた娘の心地がしてきた。

 後で葉月に話したら

『やっぱりね!美咲さんはやり手だから気を付けないとって、警告するのが遅れたわ』とため息をつかれた。

『ごめんなさい』

『なんでお母さんが謝るのよ。でも今までお母さんは私を守る為に苦労してきたんだから、これからはもっと自由に楽しく生きてね。どうせもう目立ってしまったんだから、逆手にとってモデルも良いかもね』と葉月は笑った。

 だが事態はもっと思わぬ展開を始めていくのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

葉月の純情 @buru-doragonn

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ