第9話 相談役

斉藤さんはあれから変わった。

自信が付いたのだろう。

それが本来の姿・・と言うことだ。

今まで、自信がなくて本来の姿を現そうとしなかっただけ。

一歩踏み出す勇気。

「言うは優し、行うは難し」と言う事か。

きっかけを一緒に作れた事は良かった。

おば様に感謝・・だけど、ちょっと図られた気もする。

おじいちゃんにすごく怒られた。

名門の白百合学園の中学生が・・

雑誌の企画特集に出るとは・・。

でも、妹の美咲さんが絡んでいると知って矛を収めてくれた。

「知能犯だからな。あいつは」

「葉月のことを、ずっと狙っているんだよ。」

「困ったものだ。これからも、気をつけてくれよ」

実の妹なのに、厳しい。

「はい、すみませんでした」

「でも、葉月は綺麗に撮れていて嬉しかったよ」

「きっと、恵子も雑誌を見たかもな?」

あ、しまった。

そうだった。

雑誌に出ると言う事は・・あの痴漢野郎にも見られたかも。

本当にうっかり失念していた。

合気道を習っていて本当に良かった。

学校の行き帰りには今以上の注意をしておこう。


睦子は綺麗になった後、なんとなく私の存在が気になるようだ。

友達も増えたみたいだし・・

私から卒業したいんだ・・と思う。

独立して一人の女性として自立するのは、良いことだ。

すべては、自分の人生思うように生きれば良い。

良い友として、旅立ちを祝福する。


斉藤さんが見事大変身してから、女子の相談が増えた気がする。

恋の悩み事・等々

中学生だって多感なお年頃なんです。

友達付き合いに悩む人って多い。

そんなん、考えた事もなかったな。

「基本、我道を行く。人に相談しない。人生は所詮孤独と知る。」

割り切ってしまえば、簡単なんだと思うのだが・・

シガラミと言うやつは、根が深い。

そうそう、割り切れない・・のかも。

そう言う意味じゃ、私が幸せだ・・って事なんですね。

人の相談を受けるほど、自分が幸せなのだと実感するとは・・奥が深い。


女子の場合、多くは仲良くやってる時にぶっちゃけたものが・・

仲たがいした時のリスクとなっている。

お互いに、暴露合戦で傷つく感じだったり。

先に悪口を言っていたと報告され周りから、思わぬ反感を買うケース。

つまり、「今日の友は明日の敵」と考えて、いかなる時も愚痴等は言わない。

ストレスが溜まって、愚痴を言う時はまったく関係ない所で!

利害関係の生じない所にする・・のがベストだ。

これは、大人になっても変わらないルールだと思う。

女は根に持つ。

怖い・・生き物です。


男とのトラブルは、どんな時も写メを撮らせない事。

映像権の侵害に注意。

これも、仲が悪くなった時や、自分が出世した時のリスクとなる。

芸能人が昔の彼氏・彼女から流出して首が絞まる・・危険行為だ。

「人の振り見て、我振り直せ!」

人の失敗から学ぼう。

歴史は繰り返される。

注意を怠るのは、自分の最大のミス。

不慮の事故以外は回避できる。

小さい頃から、そんな事を考えて他人を観察するのが好きだった。

あまり、それを感じさせる事は極力注意して。

ちょっと足りない天然ボケ・・程度が人には好まれる。

まぁ、相談者にどこまで通じているのか・・

相手の目を見ていると、「馬耳東風」だと分かる時もある。

仕方ない。

全部自分のような人・・って言うのも怖い気が。

食えないからね。


そう言えば、茜達はあまりちょっかいを出してこなくなっていた。

それはそれで・・

注意は怠らないようにしよう。






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