第7話 モデル

美咲はパリに渡ってデザイナーとして一旗あげて帰国した。

幾つかのブランドを手がけて、ファッション業界を支えている。

アパレルの低迷している現在、これからますます若い世代をも取り込む企画を打ち上げようとしていた。

ガールズコレクションは勢いがある。

あっと言う間に広がってバカにできない売上をあげている。

イベント・雑誌・広告・ネットも外せないアイテムだ。

そんな時、兄龍之介の孫葉月の存在を知る。

まだ中学生のくせに、大人びた肢体にあどけなさの残る端正な小顔。

メチャクチャ欲しい人材だ。

名門白百合学園に通うお嬢様。

しかし、兄のガードが固い。

手を出せずにいた時に、チャンスは飛び込んできた。

「おば様、友達を変身させたいのだけど、力を貸してくれませんか?」

「あら、ハズキちゃん。龍に相談した?」

「いいえ、おじいちゃんには関係ないし・・」

「そうねぇ、それなら美容室でヘアデザイナーにカットしてもらって、スタイリストに洋服を選んでもらったら?大変身できるわ。」

「そんなお金がないですよ」

「あら、だから私に相談したんでしょ?」

葉月は笑っている。

さすが、現代っ子らしくて良いわ。

前々から、口説いてはいたのだけれど・・良い返事がもらえなかった。

ここは気前良く、良い叔母さんを演じさせて頂きますよ。

「任せなさいよ。ハズキのためなら人肌脱ぐわよ」

「ありがとう、おば様」

さて、ヘアデザイナーは神楽に任せて、スタイリストはミーサかしら。

ちょっと、雑誌の企画で「女の子の変身特集」作るかな?

「それじゃ、その時変身の記録を撮らせてくれる?」

「お友達の変身と葉月の変身」

「私のデザインの参考にしたいから。」

葉月は少し考えていたけど、大したことじゃないと判断したのね。

うふふ・・それは、甘い!

「分かりました。よろしくお願いします。」

「それじゃ、すべて手配して連絡するわね!」

欲しいものを、手に入れる時の快感。

何度、経験しても良いわね。

お互いの思惑は隠して、商談成立。


睦子と葉月の変身企画は大成功。

葉月は元が良いから変身しても納得だったけど、あの地味で根暗の象徴のような子があんなに変身できるなんて。

読者もびっくり!

余計に、誰でも綺麗になれるんだ・・と言う希望の星になった。

思わぬダイヤの原石発掘だったわぁ。

反響がすごい。

もちろん、兄からの抗議は大変だった。

名門の中学生が雑誌のモデルデビューしちゃったんだから。

無理ないけど。

これは、偶然街で見かけた女の子を追跡したスナップ・・と言う落とし所で切り抜けた。

これからも、あの二人には何かと協力してもらうつもり。

これからの企画が楽しみね。


そうそう葉月は合気道も結構良い線いってるらしいわね。

これからの女子は可愛くて強いってのも良いかもね。

目力があるのがゾクゾクするほど気にいった。

カメラマンもハートを掴まれた・・って言ってたくらいだから。

目が離せないわね。





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