第14話最終決戦

俺達は剣を構えた。

「覚悟しろ!バルザック!」

3人で一斉に斬りかかった。

「無駄だ。」

バルザックの一振りで俺達は弾き返された。

「くっ!もう一丁ぉ!」

再び一斉に斬りかかった。

「無駄だ。」

また弾き返された。

「な!?」

「人間業じゃねぇ!」

「つ、強い!」

「当然だ。俺には神の力が宿っているんだからな。」

バルザックは一瞬でゴードンさんの間合いを詰めた。

「くそっ!」

ゴードンさんは剣を振るうもかわされた。

「甘い!」

「がはっ・・・!」

「ゴードン!」

「ゴードンさん!くそぉ!」

「あと二人。」

「パワー攻めが駄目ならスピードで勝負だ!」

アリックとバルザックを挟み撃ちした。

「遅いな。」

それでも弾き返された。

「くっ!」

「この程度で世界を救うだと?笑わせるな!」

今度はアリックの間合いを詰めた。

「アリック!」

「がはっ・・・。」

「くっそぉぉぉ!!」

「あと一人。」

『怒りに任せちゃ駄目だ』アリックに言われたことがよぎった俺は自分を落ち着かせるため深呼吸をした。

「ふー・・・。」

「ずいぶん冷静だな。勝てるとでも思っているのか?」

「勝つさ。」

俺は全身全霊の一撃を放った。が、受け止められた。

「くっ!」

「お前達は所詮この程度なんだ。」

バルザックの連撃をかわしきれず俺は倒れこんだ。

「がはっ・・・。くっ・・・そ。」

バルザックは振り返り機械に近付きなにかのスイッチを押した。すると天井が吹き飛び空が露になった。

「この装置は俺の力をエネルギーとし、地上に存在する全ての生命体を滅ぼす。そしてそのためのエネルギーも充分溜まった。」

「なん・・・だと?」

「このスイッチを押せば全てが終わる。俺もお前達も地上に残っている人間もモンスターも全てが無に還る。」

「や・・・やめ・・・ろぉ・・・!」

俺は力を振り絞り剣を構えた。

「まだ立てるか。だがもはや戦う意味もない。これで終わりだ。」

「うぉぉぉぉぉ!!!」

バルザックに斬りかかるも間に合わない。そのときだった。空からワーちゃんが現れバルザックに襲いかかった。

「何!?」

「ギャウウウウウ!!!

「小癪な!!」

バルザックはワーちゃんに対して注意が逸れた。ワーちゃんを斬るも俺への反応が遅れた。

「隙有りぃぃぃ!!!」

「しまっ!!」

俺の一撃がバルザックを突き刺した。

「ぐおぉ・・・!!」

「どうだ!!」

「ぐ・・・。・・・くっくっく。俺を倒したところでウロボロスがお前に寄生して・・・。」

「あんたも知ってるだろ?この神の剣ならウロボロスを消滅出来るってな。」

「・・・。ぐふっ・・・。」

バルザックが力尽き体が消滅すると、ウロボロスの邪気がクロノスの剣に吸い込まれていった。それと同時に空を覆っていた邪気も晴れていった。

「お、終わった・・・。」

俺は倒れこんだ。

「ギャウウウウウ・・・。」

「よかったワーちゃんも無事だったんだね。」

安心したのも束の間だった。邪気が無くなったことにより塔が崩壊を始めた。

「く!早く脱出しないと・・・!」

アリックもゴードンさんもまだ生きているかもしれない。俺は満身創痍の体を必死に起こして二人の安否を確認した。

「よかった・・・。二人ともまだ生きてる!」

そうしているうちにも塔はどんどん崩れていく。

「ギャウウウウウ・・・!」

「ワーちゃん!?」

ワーちゃんが乗れと言っているようだった。

「その体じゃ・・・。」

「ギャウ・・・!」

「ありがとう・・・!」

俺はワーちゃんの背に二人を乗せ崩れていく塔を脱出した。ワーちゃんはよろめきながらも必死に俺達を運んでくれた。

「う・・・。」

「く・・・。」

「アリック!ゴードンさん!よかった!」

「あ・・・れ?ここは・・・?」

「バルザック隊長は・・・!?」

「終わったよ・・・。全部。ワーちゃんのおかげで。塔が崩れかけて脱出したんだ。」

「そうか。」


王都の訓練所に着いた頃ワーちゃんはすでに限界を越えていた。

「僕達のために・・・。ありがとう。」

「お前には・・・世話になったな。婆さんによろしくな。」

「ワーちゃん、ゆっくり休むといいよ・・・。」

「ギャウ・・・。」

ワーちゃんは息を引き取った。




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