4歳の年 文化都市、平安京1

さて、皆様いかがお過ごしだろうか。

私は今学校に通っている。


まあ、平安時代の学び舎など存在する。

大学寮といい、官僚を育てるための貴族の学び舎だ。

律令制のもとで設立された式部省の直轄、ということになってはいる。

和名にしたら面倒なのでそのまま綴っていくことにする。


大体想像がつくと思うが、唐の文化を取り入れるために儒教が中核に据わっている。

中国史上最強のペーパーテスト。

その名を科挙というが、その学問分野をパクッ、もといオマージュしたのが、この育成機関である。

貴族専用、日本では科挙のシステム自体存在しない為ほぼ意味がないのだが。


その中でも重要なのは大学別曹とよばれるものだ。

藤原氏の管轄する勧学院、皇族に連なる一族とその他の貴族が協力した奨学院、要するに貴族の派閥の出島といえる。

そのなかでも比較的後進的とみられているのが、ここ。

橘氏が管轄する大学別曹、学館院である。


右京二条西大宮大路に存在するこの建築物には、宿泊設備、下働きの炊事等の各種設備、自習室、書庫等はあるが、教室や講義室などは存在しない。

よってこれをもって私立学校とは呼べない。

他も大体同じようなものなのだとか。


正直雨漏りと隙間風と雑音と床の軋みがヤバい。

現代と比べて建築技術には差があるのは確かだが、問題はそれにとどまらない。

予算不足だ。


そう、全ては自分のうかつさが招いたこと。

劣悪な環境、乏しい設備、質の低い食事。

こんなもので学習をするなど到底有り得ない。

意見を聞かれたので率直に答えたのがすべての元凶である。


教育こそ国家100年の計。

なれば、ちょっと行って手ごろな成果を上げてこい。

この大学別曽において全権を委任した我が姉の言である。


ややこしくなったので平たく言おう。

つまり学校編スタートだ。

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