第八話 ランクについて

え!?お金取るの!?

セミナーを受けるだけなのに!?

でも、よくよく考えてみればそうかもしれない。

セミナーをタダでするのなんて前の世界でもいなかったからね。

どんなことにでもお金は掛かってしまうということか。

仕方ない。

お金を、二万オンス払おう。

そうしないと魔法を使えないんだろ?

じゃあ受けてやるよ。払ってやるよ。

俺は魔法を使いたいんだからな!

俺は一万オンス札二枚を、二万オンス払った。


「はい、二万オンスちょうど頂きました。それでは、セミナーが始まるまでもう少しお待ち下さい。時間になりましたらお呼びしますので」


始まるまで少し時間があるのか。

せっかくだからこのギルドの中を見て回ろうかな。


改めてギルドの中を見渡す。

うーん、広いな。かなり広い。

でも、冒険者が集まる場所なんでしょ?

冒険者ギルドていうんだからね、そんなものかな。

しかも、人がたくさんいる。

俺と同じぐらい若いような人もいれば強面のお兄さんやおじさん、さらには女性もいるな。

みんな装備もしっかりとしているから、俺のこの制服じゃ場違い感が半端ねえな。

よし、じゃああそこに貼ってある依頼とか?を見に行ってみようかな。

あまり人はいないみたいだし。


ほえ〜。かなりたくさんあるな。

依頼などの内容が書かれた紙が掲示板にはってある。

こんなのいいね!

冒険者の匂いがプンプンして来そうだよ!

冒険者の匂いてよく分からないけど、

俺はその内の幾つかを見てみる。


書かれている言語は日本語では無かったがスラリと読めた。

そうか、異世界の言葉を喋れるから異世界の文字が理解出来ても不思議じゃないな。

薬草の採取や魔物の討伐まで色々あるな。

やっぱり異世界に来てよかった。

こんなこと地球では絶対にできないもんね。

でも、俺はまだこれは受けないよ。

だって魔法をまだ使えないし。

こんなのとかは魔法を覚えてから行くもんだよ。

道中にどんなモンスターが襲ってくるかわからないしね。


「よお坊主、ちょっと退いてくれるか?」


背後から声を掛けられた。

振り向くとそこには見事なマッチョがいた。

三十代くらいかな?見た感じ。

剣を腰に下げて革の防具で全身を整えている。

マッチョというか鍛えられた筋肉が露出している、主に両腕が。しかも、肌が日焼けをした時みたいに茶色だ。

肌が茶色で筋肉ムキムキの人を実物では初めて見たよ!

あれ?マッチョてどこからがマッチョなんだっけ?

この人はマッチョなんだろうか?

自分に自信がない。

まあ、とにかくムキムキだと思う。

ボクサーとかにいるんじゃないかな。

てか、坊主なんて呼ばれたの初めてだよ!俺。

実際に坊主なんて呼ぶ人がいるんだね。


「あ、すいません。じゃまでしたね、僕」


確かに、俺は依頼などが貼ってある場所を占領していたのだ。

占領というかその掲示板の前に居ただけなんだけどね。

いや、それが占領というものか。

確かにじゃまだったかも。


「う〜ん?坊主、ここら辺じゃあ見かけない服装だな。顔も初めて見るしもしかして最近冒険者になったのか?」

「ええ、つい先程なったばかりでして」

「ほお〜。そうかそうか。まあ、頑張りや」


そう言っておっさん?は掲示板に貼ってある依頼と見つめ合う。


「ふむ、今日のところはこれにするか」

「どんなのを選んだたんですか?」

「ん?ああ、これだよ」


おっさんが俺に見せてくれた依頼はオークの討伐だった。

ふむふむ。Cランクの依頼で報酬は一体につき五万オンスで討伐したオークを素材などを買い取るため運んで来ること、か。

おおー!オーク!いいね!異世界らしくていいよ!

でも、ランクか。

そういえばランクについての説明はして貰ってなかったな。


「あの、このランクというのはなんですか?」

「坊主、ランクのことを知らねえのか!?」

「まだ、冒険者になったばかりでよく知らなくて……」


おっさんは「ったく仕方ねえな。教えるのはあまり得意じゃなえんだけどな」とボリボリと頭を掻きながらランクについて説明してくれた。

いやいや、ランクについてはちゃんと知識はあるんだよ!?そこは理解してよね!でも、この世界ではそのままかどうか分からないじゃん!


「いいか?ランクってのはなFからSまでの八つがあるんだ。まず、冒険者を始めたばかりならランクは自動的にFから始まる。ランクを上げたいならたくさん依頼をこなすしか他はねえ。その依頼の種類にもよるが、大体の一定数を超えたら次のランクにへと上がれるんだ。しかしだな、依頼をこなして上がれるのはBランクまでだ。Aランクになる為にはギルドから直接の依頼が入る。その依頼を達成するか否かでAへと上がれるんだ。まあ、ギルド直接の依頼は数は多いし難易度は高いって話だ。だから殆どの奴らはBランクで止まってるよ。Aランクには余程の実力者にしかなれねえんだよ。勿論、その上のSランクはそれ以上だ。Sランクにに関してなんか現在この国に三人いるかどうかだ。まあ大体はこれでいいだろ、もっと詳しく知りたいならギルドの職員に聞いてくれ」


うーん、想像していたのとかなり同じだな。

違うところっていったらAランク以上になるためには特別な依頼が入る、Sランクの冒険者は極端に少ないてことだな。

Sランクがこの国に三人ぐらいなんて少なすぎない?

それだけSランクてのは、強い者にしか務まらないんだな。


「因みに貴方は何ランクなんですか?」

「俺か?俺は今Cランクだ。俺のパーティーもCとDだけだな。それと、俺の名前はダニエルだ」


おおー。ダニエ〜ル。ダニエル。

よく聞く名前だね。(地球では)


「僕の名前は……」

「ああ、お前の名前はいいよ。お前はまだヒヨッコ冒険者だからな、坊主だ!これからは坊主て呼ばせてもらうぜ」


俺を遮っておっさ……じゃなくて、ダニエルは言った。

俺の名前はしばらくは坊主だって。


「俺はもうクエストに行くぜ。じゃあな坊主。頑張れよ」

「あ、せ、説明ありがとうございました」


ダニエルはグッと親指を立てて歯をキラッとさせて去っていった。

こういうのもなんだけど、あまり似合ってなかったよ。もっと違うポーズにしたら良いと思う。


よし決めた!

俺は、冒険者になったからには一番上!つまりSランクを目指すぜ!

もはやこれは俺に与えられた、いわゆる使命なんだ。

俺は、Sランク冒険者になる!

(注:決してダニエルを見返すとか、坊主と呼ばれない為に頑張るとか、そういうものではございません)


まだかな〜、セミナー。

もう、そろそろ準備出来ても良いと思うだけどな〜。

その俺の願いが通じたのか直ぐにその知らせが来た。


「サイトウ トシカズさ〜ん!セミナーのご準備が出来ました。受付の方までお越しくださーい」

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