第六話 冒険者になりたい
これ、どこからどう見ても金貨にしかみえないよな?
金色に輝く円の形状、小さいながらもこのズシリとした重み、裏表に描いてある模様は違えどもネットで見たことがある金貨に非常によく似ている。
なんでポケットに金貨が入ってるんだ?
いや、待てよ。
もしかして、この金貨があったら金銭面ではクリアするんじゃないか?
「あッ!それってもしかして金貨じゃないですか!少し見せて貰ってもいいですか?」
俺は言う通りに彼女に渡した。
「これは……やっぱり金貨ですよ!これ一枚で十万オンスぐらいの価値ですよ!これで冒険者登録も大丈夫ですね!」
おお、本当に金貨だったとは。
しかもあれ一枚で十万オンス!?
流石は金貨だな。
ともあれ、これで金銭面ではクリアだな。
良かった。冒険者登録ができるぞ!
「でも、どうして金貨を持ってたことを最初に言わなかったんですか?心配したんですよ」
そう言われてみれば俺も分からないな。
ポケットにこの世界の金貨ぎ入っていたこと。
なんで入っているんだろ?
「いや、俺もなんで入ってるのかわからないんですよ。本当に不思議で」
「うーん、でも良かったじゃないですか。これさえあれば登録は直ぐにできますし、そのほかにも装備とかアイテムとかも一通りは買えますよ!」
まぁ、いいか。
結局はいい方向に転がったんだから。
装備やアイテムか……何を買おうかな。
いかにも、自分は冒険者です!ていうものを買いたいよな。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そうこうしているうちに冒険者ギルドに到着した。
やはりギルドとというだけあって他の建物とは大きさが違う。かなり大きい。
冒険者ギルドも他の建物と同じ様に西洋の造りをしている。
西洋とはいってもレンガ造りばかりじゃなくて木造の建物もちゃんとあるけどね。
「着きましたよ!冒険者ギルド!」
アリシアはチラリと俺の方を見ながらコホンッと咳払いをして。
「ようこそ!冒険者ギルドへ!トシカズさん!」
冒険者ギルドを背にして、バッと両手を広げながら俺の向いた。
いきなりだった。
「き、急にどうしたんですか?」
「いや〜えへへ〜。こんなことやったことなかったので一回やってみたかったんですよ。えへへ〜」
そうか?そんなものなのか?
「でも、とっても良かったです。キマってましたよ。今のアリシアさん」
「あ、ありがとうございます」
頬を赤く染めながらお礼を言われた。
「……」
「……」
少しの間、沈黙が流れる。
なんなんだ?この沈黙は。
その沈黙を最初に破ったのはアリシアだった。
「さ、さあ早く中に入りましょう!」
「そ、そうですね」
俺たちは急ぎ足で冒険者ギルドの中へと入った。
中に入ると多くの人の賑やかな声が聞こえてきた。
どういう風に言えばいいのだろう。
冒険者ギルドの中はまるで某RPGの酒場のようだった。
いや、まさにそれだ。
外見からは想像がつかなかった。
この冒険者ギルド自体は二階建てで大体の部分が木造だと見てわかる。
外見は西洋の感じなのに中は木造なのだ。
中はかなり広くおそらく受付のようなスペースや飲食のスペースなど他にも色々なスペースがあるようだ。
「えっと、トシカズさんは登録でしたよね?それならあちらの受付の方に行ってください。あそこで登録が出来ますから」
「あれ?アリシアさんは受付の仕事じゃないんですか?」
「違いますよ。私は冒険者への魔法の講義の方を任されていますから」
「えええ!?じゃあアリシアさんは魔法の先生てことですか?」
「先生!?いや、先生ではないとういか先生とまではいかないというか……あれ?私って先生なのかな?」
まさかアリシアさんが冒険者に魔法を教えているとは……人は見かけにはよらないということか。
俺はてっきりアリシアさんは受付嬢かと思っていた。
まぁとにかく登録する為に受付の方へ行くか。
「じゃあアリシアさん、俺は登録してきますのでもし良かったら後で俺にも魔法を教えてくれませんか?」
「ええ、勿論です。魔法への適正が高いことを祈っています」
え?魔法への適正てどゆこと?
魔法への適正がなかったら魔法使えないてこと?
「それでは、また後で会いましょうね」
アリシアさんはバイバイ〜と手を振って他の部屋に入っていった。
よし、受付へ行こう。
受付ではこれまたよく見る女性が仕事をしていた。
はっきり言うと胸が大きい。
なんでこういう冒険者ギルドとかにいる女性のほとんどの女性は胸が大きいのだろうか。
異世界だからなのかな。
「あの〜冒険者になりたいんですけど」
「あ、はい。ええと、冒険者への登録は初めてですね?では登録料の五千オンスを頂きますが……」
あ、俺金貨しか持ってなかったんだ。
これここで両替とか出来るのかな?
「あの、俺この金貨しか今は持ってないんですが……これって両替できますかね?」
受付の机にコトンッと金貨を置いた。
「あ、分かりました。ではコレを少しお預かります。只今一万オンス十枚に替えてきますので」
と受付の女性は金貨を持って奥の部屋へと行った。
両替は直ぐには出来ないんだな。
数分ぐらいして女性は戻って来た。
「では、一万オンス十枚まいから登録料を引いて一万オンス九枚と五千オンス一枚です。ご確認下さい」
ほお〜。地球のお金と似てるな。
一万オンスなんか一万円札みたいだし、五千オンスなんか五千円札みたいだ。
……て結構ソックリやんけ!
いや、それゃあ描いてある絵は違うけど結構似ているというか……似てるッ!
「では、正式な冒険者登録とステータスを調べますので少しお待ちください」
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