第9問

 以下の問いに答えなさい。

『人が生きていく上で必要となる五大栄養素を全て書きなさい』



 宗像誠むなかたまことの答え

『脂質・タンパク質・炭水化物・ビタミン・ミネラル』


 教師のコメント

『正解です』



 東城裕貴とうじょうゆうきの答え

『ビタミンABCDE』


 教師のコメント

『あなたの採点には一度ペンを置くことにしました。大きなバッテンで十分ですからね』



 篠崎一郎しのざきいちろうの答え

『たんぱく質、らんぱく質、筋肉質、素質、脂質』


 教師のコメント

『ふざけながらも正解があるのが腹立たしいです』



――――



「バレンタインチョコ34個も貰ったイケメンの顔面を潰せぇ!」

『『『うおおおおおおおおおお!! 憎いぃいいいいい!!』』』

 Fクラスの連中をまとめるのは意外と簡単だった。

 敵であるはずの俺と宮野が混じっていることも気づかずに、Fクラスは一丸となって進撃する。

 渡り廊下の防衛拠点を物量で突破。

 だが次に待ちかまえている中央拠点の防護は、力押しではいかない。

 Aクラスの粘りに悪戦苦闘していると、迂回ルートからFクラスの増援がやってきた。

「ほうッ! 東城、化学反応を起こしたのかッ!? これは面白いなッ!」

「井川か! 悪い、ここを任せても良いか!?」

「任されよッ!」

 なんというタイミングの良さだ。この数ヶ月、劣悪な環境で研ぎ澄まされた野生の感が働いたのかもしれない。

「ありがとな! 井川!」

「礼は、秀吉先輩のブロマイドで頼むッ!」

 てっきり、手に入れにくい薬品でも要求されるかと思ったが、井川も一人の男だったらしい。

「アキちゃんのメイド写真ならどうだ!?」

「素晴らしいッ! 猛ってきたぞッ! ここは任せろッ!」

 鬼神のごとき気迫を見せる井川とは裏腹に、紫緒里と宮野は冷え冷えとした視線を向けてくる。

「……なぜ持ってるです?」

「あ、いえ……取引材料としてだな……」

「……戦争が終わったら没収です」

「やめてくれ! せめて、秀吉先輩(チャイナ服)の抱き枕だけは……!」

「……一緒に燃やされたい?」

 やばい、紫緒里が人殺しの目をしている。

 あとで誰かに秘蔵のコレクションを預かって貰おう。

「本陣を前にふざけている場合ではありませんわ!」

 Aクラスの教室は目の前だ。

 こちらの戦力は、わずかなFクラスの盾役の数名。それに紫緒里と宮野のみ。

 向こう側も前線の防衛に力を入れているため、本陣は手薄になっているようだが、これだけでは心許ない。

 あともう一人、心強い戦力がいれば……。

「よくぞここまで辿り着いたな、我が友よ!」

 逃亡していたはずの一郎が、Bクラスの教室から姿を現した。

「おまえ、どこ行ってたんだよ! シスコンの風上にも置けないクズに成り下がりやがって!」

 どうやって前線をくぐり抜けて、Bクラスまで侵入したのか不思議でしょうがない。だが、ここにきて一郎の登場は天恵としか思えなかった。

「戯けが! これもすべてはラヴシスターのためだ!」

「……ゴミムシの戯言です」

「ふんっ。俺様は初めから本気など出しておらんのだぞ?」

「なに……?」

 まさか、ここまで一郎のシナリオ通りだったというのか。

 先見の明がある――という次元の話ではない。一郎は、未来予知にも匹敵する思考の持ち主なのかもしれない。

「ふぅははははは! ここからが本番だ!」

 自信に満ちた顔が笑みに染まる。

「おまえ……それでこそ俺の親ゆ――」


「俺様は本気で、を勝利に導く!」


「…………は?」

 何を言ってんだ、このクズ。

 一郎は、額に『紫緒里ちゃん だいちゅきくらぶ』と書かれたハチマキを巻く。おぞましすぎて音読したくない。

 そしてBクラスから三名の男子生徒が出てきた。AクラスとFクラスの混成だが、全員の頭に一郎と同じハチマキを装着している。

「ここでAクラスが勝てば、貴様とは二度と顔を合わせることはない! つまり!! 紫緒里ちゃんは俺様のものとなるのだ!!」

「てめぇ! 始めから負けるつもりだったな!?」

「ふははははは! そうだとも! 宮野嬢の計略が首尾良く進んだときは、さすがに肝が冷えたがな!」

「あの数学の点数も、わざとか!」

「いや、あれは本気だったが?」

 おまえの本気って……。

「ふははははは! ――試獣召喚サモン! さあ、ここで引導を渡してやろう!」

 このまま一郎を放置することは出来ない。

「ここで戦うしか……」

「東城さん、道をお譲りますわ」

「宮野!?」

 いくら相手が一郎であろうが、周りにはAクラスの生徒もいる。宮野一人では分が悪い。

「ここでわたくしは負けても構いませんわ。だから、わたくしにお任せあれ」

「宮野、おまえ……」

「戦争が終わりましたら、色々とお願いを聞いてもらいますからね」

「おう、なんでも言ってくれ!」

「な、なんでも……! あぁ……」

 大丈夫かなぁ……?

「……しおりも、ゆうきを奴隷にする権利がほしいです」

「おまえにやる権利はない」

 高い玩具を買わされるに決まっている。

「……むぅ」

 頬を膨らませ、むくれている紫緒里の姿は、緊迫した状況下でも可愛らしい。

『『『俺らも、裕貴くんを好き勝手に出来る権利がほしいなぁ!』』』

 Fクラス男子一同の怨めしい声が響いてくる。

 戦場が混沌に呑み込まれる前に決着を付けなければ、俺の命が危ない。

 立ちはだかる一郎を宮野に任せ、俺たちはAクラスに乗り込んだ。



――――



「君がここまで馬鹿だとは思わなかったよ」

 Aクラス、教室内。

 そこにはイケメンとその親衛隊が待ちかまえていた。

「裏で糸を引いてた奴が、よく言う台詞だな」

「悲しいね。僕は君のためを思って、やったことなのに……。Fクラスは害でしかない。底辺の連中とつるんでいると、気づかぬ内に君も底辺に落ちることになるよ」

 イケメンは、学園ドラマの嫌われ役でも演じているようだった。

「やめろ、イケメン。それ以上、あいつらのことを悪く言うのは許さねぇ」

 だから俺は、宗像誠が嫌いだ。

 常に何かを演じているようで、自分の素顔を隠している――偽りだらけの男。

 だがそれは自分にも言い当てはめられる。

 紫緒里の前では、いつも俺は過去の自分を演じようとしていた。

 イケメンに対する気持ちは、同族嫌悪と言っても間違いではない。

「理解してくれとは言わないよ。これは僕の考えだからね。でも、言わせてもらうよ。――その交友は、君を苦しませる」

「っ!」

 同族だからこそ、こいつは俺の気持ちを理解していたのかもしれない。

 俺は否定できなかった。

 紫緒里を見る度に、俺は苦悩している。そこに偽りはない。

「篠崎くん、君も分を弁えた方がいい。正直に言うとね、君と東城くんが並ぶ姿は――滑稽以外の何でもない」

「……!」

 紫緒里が俺のブレザーの袖を掴む。

「醜い上に、無様だ。篠崎くん、まさか気づいていなかったのかい? 東城くんが君たちに対する態度は、『気遣い』という偽りでしかないことを」

 頭に血が上っていくのがよく分かる。

「てめぇ! 二度と外に顔向けできねぇ面にしてやる!!」

 前に出ようとした瞬間、紫緒里に服の袖を引っ張られる。

「……ゆうき、それ、本当?」

「違うに決まって……っ!?」

 紫緒里の顔を見て、言葉を詰まらせてしまった。

「なんで、泣いてんだよ……?」

「……しおりは、今のゆうきのことが、全然分からないです」

 ぽつりぽつりと流れる涙と共に、紫緒里は気持ちを呟く。

「……昔のゆうきのことは、何でも分かってたです。好きなこと、嫌なこと、嬉しいこと、楽しいこと、何のことでも。でも……今は何も分からない、です」

 俺は馬鹿だ。

 東城裕貴から別人になる努力をしたせいで、紫緒里を置き去りにした。

 なぜ、そのことに気付かなかったんだ?

 なぜ、今まで一度も紫緒里の気持ちを考えてやらなかったんだ?

 俺が日常の生活に不安を抱いているように、紫緒里だって同じ気持ちを感じていたのだ。

「……ゆうきの本当の気持ち、教えて」

 紫緒里が声を絞り出す。

「……しおりのこと、嫌いなら…………しおりは――」

 泣きながら、彼女は笑った。


「もう、ゆうきと一緒にいなくてもいいです」


 こんな悲しい笑顔をさせんじゃねぇよ、大馬鹿野郎。

「紫緒里、言っただろ? おまえは大切な存在だって。俺は一度も、おまえのことを嫌ったことはねぇよ」

 自分の口だとは思えないほど、自然と言葉が出てきた。

「俺はな、おまえの笑顔が大好きだ」

 過去も今も関係ない。

 これは俺が抱く、俺だけの感情。

 紫緒里の笑顔が見たい。ただ、それだけだ。

「笑わしてやるよ。あいつをブッサイクな面にして、おまえを笑わしてやる」

 だから。

「笑う準備……しとけよ?」

「……ゆうき……」

 雨上がりの花が雨粒を輝かせるように、曇った表情から微笑みが顔を覗かせた。

「……ありがと、です」

 彼女の笑顔があれば、俺は何も要らない。

「面白いことを言うね、東城くん」

「うるせぇ! 笑ってられるのは今のうちだぞ、このクソイケメン!」

 イケメンと対峙する。

 俺は、あの薄っぺらい笑顔が大嫌いだ。


「「――試獣召喚サモン!!」」


『 2ーA    宗像誠   VS  2ーA  東城裕貴

  総合科目   4105点  VS        2933点 』


 紫緒里との戦闘や、ここまで来るまでに消耗していた点数が、大きい差となって表れる。

 しかし点数なんて些細な問題だ。

 要は、ぶん殴れば勝ち。

「君には身体で理解してもらおう」

 イケメンの召喚獣が爆発的な速度で肉薄してきた。

「――言っておくけど、僕は手加減しないからね」

 イケメンの武器は、召喚獣の倍以上も長い大太刀。

 刀身すら目で捉えられないほどの斬撃が襲いかかる。

 回避――間に合うか!?

 刃は頭部を掠った。


『2ーA 東城裕貴  総合科目  2540点』


 当たりどころが悪く、点数の減り方が顕著に影響する。

「ハッ! 手加減抜き? それでこの程度かよ」

「その余裕、どこまで持つかな?」

 刺突。

 籠手で刃の軌道を反らし、間合いに飛び込む。

「甘いよ!」

 大太刀を横払いに振るう。

 斬るというよりも叩きつけるような力業だが、今の点数差では大太刀は鉄球かと思わせるほどの威力を発揮した。

 俺の召喚獣が地から足を浮かせ、教室の床を転がる。

「君は素晴らしい人間だ。だからこそ、もっと上を見るべきなんだ」

「あ!? 上なんかに興味ねぇよ!」

 俺が上を見たことはない。

 この二つの目は、いつも紫緒里過去ばかりを見ていた。

 だが、これから俺が見るべきは――前だ。

「やはり君は、馬鹿だ」


 ごとり


 音などはしなかったが、そんな幻聴が聞こえた。

「――っ!?」

 俺の召喚獣の左腕が、まるで蛇のように床に転がっている。

「なぜ君は分かってくれないんだ!」

 続けざまに大太刀が、襲いかかった。


 残り――1556点


「なぜ、僕の考えを理解しようとしてくれない!?」


 1324点


 まずい。


 741点


 このままでは――


「君は一度も、僕の言うことを聞いたことがない!」


 211点


 ――みっともない勝ち方になっちまう。


「やっと、見えたぜ。てめぇのパターン」

 イケメンの攻撃を完全に躱す。

 がら空きの間合いに飛び込んだ。

 ここからは――俺の独壇場。

「聞きたかねぇんだよ……! いっつも、上べっつらだけの言葉しか吐かねぇ、てめぇの言葉なんざぁ!」

 いくら速くても、いくら力があっても。

 攻撃のパターンさえ、覚えてしまえば関係ない。

「頭の良いイケメンくんに問題だ!! なんで俺は裏切ったと思う!?」

 一発を、鳩尾に。

「僕が気に入らないからだろう!?」

「違う!」

 二発を、胸に。

「なら、Fクラスが好きだからかい!?」

「違う!!」

 三発を、感情任せに――ぶん殴る。

「……くっ! だったら、なんだというんだい!?」

 イケメンの召喚獣が特殊能力を発動する。

 横に一閃。

 太刀筋の見えない斬撃は、神速に値する。

 だが、なんとも捻りが無さすぎる攻撃だった。

 ――紫緒里なら、もっと上手く当てにくる。

「てめぇが――!」

 斬撃を潜り抜け、拳を振りかぶった。


「紫緒里を泣かせたからだぁ!!!」


 イケメンそっくりの召喚獣の顔面を凹むほど力強く殴りつけた。


『 2ーA   宗像誠  VS  2ーA  東城裕貴

 総合科目   31点  VS        206点 』


「そんなバカな……!?」

 特殊能力は点数を大きく消耗させる。それに加え、俺の攻撃が入れば納得の行く点数だ。

 イケメンの鼻先に、拳を突きつける。

 これで王手だ。

「どうして……どうして、こうも上手くいかないんだ! くそっ!」

 ようやく化けの皮が剥がれたみたいだな。

「本音でいこうぜ、イケメン」

「本音……!?」

 イケメンが睨みつけてくる。

「僕に本音を言えなくしているのは、君たちだろう!」

 今まで溜め込んでいた気持ちを、感情任せに吐き出していく。

「僕は尊敬されるような人間じゃない。他人よりも少しだけ顔が整っているだけなんだ! なのに、君たちは僕の上辺しか見ないで、僕のやることなすこと、すべてに理由をつけて美化してくる! ……本当の僕は醜い人間なんだ! 本当は、もっと……もっと言いたいことがあるのに、君たちがそうさせてくれない!」

「なら良い機会じゃねぇか! いま、言えよ! 言わなきゃ何にも伝わらねぇぞ!」

「……っ!」

「なんで、こんなことをした!? おまえの本当の目的はなんなんだ!?」

 なぜFクラスとの断交を提案したのか。

 紫緒里を泣かせた理由を聞いたら、こいつは徹底的にボコる。

「本当は、篠崎くんやFクラスのことを卑下するつもりなんてなかったんだ……! 心の底から悪いと思っている! だけど……! 本当は……!」

 己の中で何か葛藤するようにイケメンは苦しむ。

「本当は、本当の……僕は……っ!」

 俺は、イケメンの本心を聞きたかった。


「東城くん! 君と仲良くなりたいだけなんだ!」


 やっぱり、聞きたくなかった。(号泣)

「僕は、もっと君と話がしたい。一緒にいたい。なのに、君はいつもFクラスのみんなと連んでばかり!」

「あのー、イケメンさん……?」

「おかしいじゃないか! 同じクラスなのに、僕よりもFクラスを優先させるなんて!」

 うん、おかしいよ。おまえの考えがおかしい。

「……ゆうき、あいつ、ホモです」

 服を引っ張り、心底怯えるように紫緒里が寄り添ってくる。

「違う! 僕は……ホモじゃない! ただ、東城くんと親しくなりたくて、そしてあわよくば二人で映画を見に行ったり海で一緒に泳いだり、君の家で、お、おっ、お泊まりしたいだけだ!」

「……まごうとなきホモですっ!」

 いかん、一瞬気を失っていた。

「あのさ、イケメン。ホモじゃないんだよな?」

「男には恋愛感情を抱かないよ。ただ……君だけは好きだけど」

 駄目だ、どう聞いてもホモにしか聞こえない。

「……ゆうき、ホモは好き?」

「無理だ。記憶がリセットされても無理だ」

「……それを聞いて安心したです」

「いや、安心してないで、この痛々しい空気をどうにかしてくれ」

 先ほどから女子の目線が、怖い。

「ははっ、軽蔑しただろ? 君と仲良くなりたくて試召戦争を利用したのさ。僕は、私利私欲のために動く最低な男なんだよ……」

 それ以前にホモのことは何とも思わないのか。

「……いけめん。ゆうきのためにここまでする度量は、認めるです」

 一歩、紫緒里がイケメンに近付く。

「……ゆうきを好きになる奴に悪い奴はいないのです」

「んん? 何をおっしゃってるのかな、紫緒里サン?」

「……その心意気に免じて、ここは一つ取り引きをするです」

 おや? おやおやおやぁ、なんだか雲行きが怪しくなってきたぞぉ?

「……Fクラス代表代理として……しのざきしおりは、Aクラスと引き分けの交渉をしたいと思うのです」

 教室内にざわめきが起こる。

「君は……僕に情けを掛けてくれるというのかい? こんな卑怯な僕を……許すというのか!?」

 誰か、こいつを黙らせて。

「……友人関係までは認めるです。それ以上を望むというのなら――(首を掻き切るポーズ)――潰すです」

「あのぉ、紫緒里サン? 先ほどから、何を言っているのですか? 俺、馬鹿だから、ちょっと意味わかんないんですけどぉ?」

「……ゆうきは黙ってるです」

「ははっ、参ったな。君には勝てそうにないよ」

 イケメンが爽やかに笑う。

「ありがとう、篠崎さん。君は大物になれる」

 イケメンと紫緒里は、まるで激戦を潜り抜けてきた戦友のように目を合わせて頷き合った。

「君が差し伸べてくれた提案、甘んじて受け入れよう。さあ、試召戦争を終わりにしようか」

 終わり? え? これで終わり?

 俺がオロオロとしていると、突然教室のスピーカーから放送が流れ始めた。

『AクラスとFクラスによる試験召喚戦争、ただいまをもちまして終結! 両方の代表代理同士の話し合いにより、引き分けとなりました!』

「篠崎くん、握手をしよう」

 イケメンが和平のための握手を求める。

 だが紫緒里は首を横に振った。

「……ゆうき、出番です」

「は? なんで、俺?」

 AクラスとFクラスの戦争なのだから、代表代理同士の握手で締めくくればいい。傷心の俺は、放っておいてほしかった。

「……いいから早くするです」

 半強制的にイケメンの正面に立たされる。

 まるで恋する乙女のように、顔を赤らめるイケメン。

 現実から意識を引き剥がそうとするも、イケメンが手を伸ばし、俺の手を取った。

「東城くん! お友達から始めさせてください!」

 お友達より上は、親友しかないんですけど。

 がっちりホールドされる手。

 満面の笑みを浮かべるイケメン。

 俺の暗殺計画を練り始める女子ら。

 帰りの支度をし始める男子ら。

 満足そうな紫緒里。

 ああ。記憶を諦めたのに、掴んでるのは男の手かよ……。

「あははははは……うわぁあああああああああああああん!」


 この日から女子の意向により、俺の机はシステムデスクから段ボールに変わった。

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