第6話 すり合わせだって
「“紅”の魔王『ブラディバル・ソラドレンサー』です」
ドヤァ……
「“地”の魔王『アレストロス・ドレオレア』です」
ニチャァ……
「2人そろって」
「2人は」
「おじゃ
「プレキュア☆」
「は?」
「は?」
~~しばらくお待ちください~~
「前が見えねえ……」
悪は滅びた。
ということで明け方。一部では起きだす人がいるほどの時間である。
こんな時間まで起きていたというのも、隣の部屋の主がこちらの音を聞いているようだったのだ。消音結界的な物を貼れるとはいえ、いらぬ勘繰り(来兎と鹿住ちゃんがねんごろしてるとか)されても困るので、寝るまで待ってたらこんな時間になってしまった。
魔神に睡眠の必要はないし、鹿住ちゃんボディでも3日くらいなら問題ないとはいえ、その執念は称賛に値する。俺が来兎だったら普通に無理だけど。
うん? 待てよ、こうやって寝てなかったりするから鹿住ちゃんは背が低いんじゃあ……いやよそう、勝手な予想で混乱したくない。
指を噛み切って消音結界を張り、顔面陥没から治った来兎を見る。
「おう、いやあ俺もヤタローブ王国の勇者召喚に便乗して復活してよ。説明(笑)受けたら千年前に滅びた魔王が復活したって話らしくてな?」
かっぴー知ってるよ。そういうの説明と言う名の洗脳って言うんだって。
「わざわざ勇者を呼んだ俺たちがまさかまた魔王業なんてやるわけないと思って、向こうの城を追い出されてから確認してみたんだ。そうしたら『千年前に善なる神が魔王を手引きしていた悪なる神を滅ぼした』とかいう失笑物の記述を教会で見つけてな。アンネがキレてた理由が分かったぜ」
異世界転移はともかく最終的に
まあ大方予想通りだったけど。千年の間にゲーム的世界と融合して文明が八割方吹き飛び、復興した結果が今の世界なのだろう。
その時にガワだけでも復活していただろう【赤い月の神】が人々を導きでもすればそりゃあアイツの都合良いように宗教だってできる。
信仰が力の底上げになるという神々のシステム上、創造神としてのポジションをアンネから奪ってしまえばアンネを超えることも可能……と見たか。
「万物の創造神ならともかく、それで信仰を取れるのは知性……文明のある生物だけだろ? 本能で考える魔物とかは本能的にアンネが創造神だと知っていたはずだ」
「残念、今いる魔物のほとんどは【赤い月の神】が作ったみたいだ。溢れたマナはダンジョンの運営とウィンドウのシステムに使われる。この辺調べるのに3年かかったぜ」
「それ飛鳥に会えば済んだんじゃ?」
「どのみち行くとこ行くとこでダンジョンから漏れ出た連中が襲ってきてな。実験動物には事欠かなかった」
大概主人公みたいなことしてんのなコイツ。これでロリコンじゃなければ……
「何だよ、その養豚場の豚を見るような眼」
「まあ千年経ったことは納得した。つーことはあの時から1万年と1千年前か……後1千年経ってたら危なかったな」
1万年と1千年経っても愛してる人多分まだいるし。
「それ以上いけない。あっそうだ。鎧とかいるよな? ほい」
まるで飴玉でも放るような気軽さで投げられたレザーアーマーを受け取る。
茶色を基調とした地味目のそれはまさしく初心者冒険者感があった。
「付与効果は防御力上昇と致死性ダメージを1回肩代わりだ。やっとできた」
「サンキュー。うわぴったりだ、キモッ」
制服の上からつけてみれば、図ってもいないのにぴったりだった。寒気がする。
「最初につかみかかった時に把握したぜ。後は見回して微調整しながらずっと作ってたんだぜ? 凄くね?」
「正直その凄さよりもキモさのが先に来る」
来兎の魔法は便利になればなるほど時間のかかる物。多分即死回避が便利だから半日ほどかかったのだろう。
製作中に眠ったらパァになるけど、今の来兎は睡眠が必要ないから事実上作れないものはない。例えば『ダメージ無効ダメージ反射、攻撃&防御力上昇レーザー発射可能』みたいなのでもいつかは作れるのだ。強すぎじゃね?
「ま、代金は鹿住ちゃんを舐めまわすように見たこととトントンだな」
「マジで? じゃあ新しいの作ったらもっと見ていい?」
「死ね」
ないわー。
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