騎士と世慣れぬ姫の物語です。丁寧に織り込まれたお話はちょうどよい速度とちょうどよい質感でもって、過不足もなく見事なフルコースのご馳走のようにもてなしてくれます。時々すぐそこにバトラーがいて、お味はいかがですかと声をかけられているような、そんな気分になります。
不吉な通り名をもつ夫。続く事件。優しさと切なさと不安と信頼。
なんて素敵。
どの人物もそれぞれに輝いて、酸いも甘いも全部ある。
たいへんお腹一杯胸一杯の大満足な作品です。
唯一、何が起きているかわからない描写が数行。僅かながらにありました。敵の手の者がロイズ様を襲撃される回です。それを差し引いても⭐3つですね。