第7話

「やっぱ、望結の料理はうまいな。

そこらへんのレストランより、ずっとうまい。」


瑠威はいつもそんなことを言う。

口がうまいっていうか、なんていうのか…

お世辞だろうとは思っても、それでも頬が緩んでしまう…




「サラダも全部食べなきゃだめだよ。」


「はーい。」


瑠威は、野菜があんまり好きじゃない。

だけど、瑠威は意外と素直で、食べなさいって言うとちゃんと食べる。

そこがまた可愛いんだけど…




それにしても、私がこんなことをしてることがバレたら、さゆみだけじゃなく、シュバルツのファンにどんなことをされるかわからない。

いや、それ以前に、一緒に住んでることがバレるだけでも相当まずい。

瑠威は、今、ベースのクロウさんと一緒に住んでるってことにしてる。

クロウさんは実家がお金持ちで、広い、オートロックのマンションに住んでるから。




「なぁ、望結…」


「……え?何?」


「昨日、もしかしてライブに来てなかった?」


「えっっ!な、な、なんで私が……」


「そうだよな…いや、なんか望結に似た子を見かけた気がして…」


「わ、わ、私…ど、ど、どこにでもよくいるタイプだから…」


……ひきつった。

びっくりして焦って、頬っぺたの肉がぴくぴくしちゃった。

私はホールの一番後ろにいたっていうのに、なんでこいつ気付いたんだ!?

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