08/19/13:20――練習風景

 昼食ちゅうしょくえてすぐのころわるいとはおもったがすずには一度いちどみせもどってもらった。きゃくるからとっておいたし、そこは商売しょうばいなのですずの領分りょうぶんだ。そのうえ、どうせこちらへもどってるだろうことはわかっていたので、そこもふくめておいた。半分はんぶんおれ用事ようじになってしまったが、そのあたりはまたあとで、謝罪しゃざいでもなんでもしてやろう。

 とりあえずおれはトラックの直線ちょくせん部分ぶぶんに、間隔かんかくをあけてフラッグを設置せっちしてやった。半分はんぶんおれ指示しじ部外者ぶがいしゃ連中れんちゅう手伝てつだったのだが、簡単かんたんってしまえば運動場うんどうじょう左右さゆうそれぞれ、一本いっぽんずつ直線ちょくせんでフラッグがならんでいる状態じょうたいである。そして、全員ぜんいん一番目いちばんめのフラッグのところにあつめてから、おれはよしとうなずいた。

「それでは午後ごごからの訓練くんれん開始かいしする!」

「よろしくおねがいします!」

返事へんじだけは一丁前いっちょうまえだな、貴様きさまら! いいか! 反対側はんたいがわのフラッグが二番目にばんめになっている。貴様きさまらはまず、あそこまで加速かそくして移動いどうしろ! そしてフラッグにれるまえ減速げんそくおこない、上手うま停止ていしをしつつフラッグにれ、そのままの姿勢しせい三番目さんばんめ目指めざせ! つまり、右肩みぎかたけて移動いどうしたのならば、停止後ていしごはそのまま、かおきをえ、左肩ひだりかた目指めざすことになるが、そのくらいのことはわかるだろうな⁉」

「はい!」

最初さいしょはのんびりでもかまわないが、できるだけ速度そくどげることを念頭ねんとうけ! そして、どうやれば速度そくどちるのか、あるいは、とすにはどうすればいいのかを、つねかんがえろ! いまはいないが、すずが到着とうちゃくしてから、おりて、どうしてこんな訓練くんれんをするのか、その結果けっか目指めざすべきものがなにかをせてやる! つまり貴様きさまらは、どうして必要ひつようなのかもかんがえておかなくてはならん! いいか間抜まぬけども! 戦場せんじょうではかんがえることをめた馬鹿ばかだけがぬ! ここが戦場せんじょうでなくとも、馬鹿ばか向上こうじょうせずに駄目だめなまま、なにることがなく時間じかんだけを無駄むだにする! このおれに、そんな馬鹿ばかはここにはいないと証明しょうめいしてみせろ! よし遠藤えんどう貴様きさまからけ!」

諒解りょうかいしました!」

 コツをつかむのに時間じかん必要ひつようだろう。とはいえ、失敗しっぱいしても成功せいこうするまでやるだろうし、成功せいこうしたときよろこびも連中れんちゅうにはおしえた。もうすこしで本当ほんとうたのしめる時間帯じかんたいにくるのだが――さて、どうしたものかな。

 なんといっても、あの四人よにんにとっては時間じかんりないのだ。八月はちがつわるくらいにはもう、かえってくだろう。それまでには、なんとかしてやりたい。

 ……これがわったら、勝負しょうぶでもさせてみるか。

 はじめのころくらべて、錯誤さくご範囲はんいひろがっている。どうしてそうなるのか、どうやればどうなるのか、そういったことをにしてボードにっている証拠しょうこだ。そうした意識いしきは、ボード以外いがいでもやくつはずなので、そこに気付きづけば、おれ指導しどうした甲斐かいがあるというものだが、さすがにもとめすぎか。

 しばらくすれば、減速げんそくさいに、以前いぜんおぼえた加速かそくの〝ぎゃく〟をやろうとするものてとれる。傾向けいこうだ。

「ん――」

 ボードにひじせるようにしてていたおれは、ふいに気付きづいて校舎こうしゃかえれば、横側よこがわから迂回うかいするようにあるいて三人さんにん発見はっけんし、吐息といきひとつ。どうしたものかとかんがえたが、こちらから近寄ちかよってった。

 すずが先頭せんとうち、背後はいごにいる一組ひとくみ男女だんじょ

 おとこかみみじかっており、背丈せたけおれくらい。一見いっけんしてほそえるからだしぼまれているのだとわかるのは、おれもまたおなじく、そうであるからだ。おんなかたほどまでのかみを、左右さゆうくくっており、どこかつめたいような印象いんしょうける表情ひょうじょうで、こちらに気付きづいた。


 北上きたかみ響生ひびきと、七草ななくさハコ。

 おれの――同僚どうりょうだ。


「よう、ルゥイ」

「すず、出迎でむかえご苦労くろうだった」

 二人ふたりもまたボードをっている。すずのみせされたものだろう。

「きちんと前崎まえざき挨拶あいさつをするところは、らしいとえばらしいが、また唐突とうとつ来訪らいほうだな、ケイミィ」

野雨のざめまでといて、ツラもせねえおまえわるいんだろ。まあ、懸念けねん事項じこうはいくつかあったが、ボードであそべるしおまええるしってことで、ハコさんとデートだぜ。どうだうらやましいか?」

「ハコの心中しんちゅうさっする。――子守こもり、ご苦労くろうだな」

「まったくよ。まあわたしたのしいからいけれど」

理解りかいがあっていことだな。はなしいたか? すず、この二人ふたりおれ同僚どうりょうだ」

「あ、はい。かるきました」

「だったらおれからの紹介しょうかい必要ひつようないな」

「……なんでケイミィさんなんです?」

同僚どうりょうのクソッタレなアメリカンが、KITAKAMIのうしよっつをケイミィとんだんだよ。おんなみてえだからやめろってってんのに、日本語にほんご理解りかいしたコイツでもえやしねえ。グレッグのクソ野郎やろう……」

「はあ、そうなんですか……あたしは北上きたかみさんってびますね」

「おう、そうしてくれ。つーか、なんだ? 基礎きそ訓練くんれんからだでもあたためてんのか?」

「いや、まさに基礎きそそのものをおしえている。ヘキサもままならん下手へたくそどもだ」

「……うん?」

「ルゥイ、ボードが認可にんかされているのはっているけれど、実際じっさいはどうなの」

おれまえは、ふらふらとうごいて巡航じゅんこうしつつ、せいぜい障害物しょうがいぶつけて移動いどうしてたのしむくらいなものだ」

「はあ、そりゃまたなんつーか……あそ下手べただなあ。たし二年にねんくらいあったんだろ」

「おにいさんにもたようなことわれましたよ。多少たしょう販売店はんばいてんである、あたしの責任せきにんですね」

「ルゥイがこれてるのかしら?」

一応いちおうな。おれにこんなことをさせるなといたい気分きぶんだ。教官役きょうかんやくならばハコのほう適任てきにんだろう」

おしえることはできても、そだてることはできないわよ」

「……そうだったな」

「つーか、まあいいんだけど、ちょっとあそぼうぜルゥイ。なまってねえかどうかだけでも確認かくにんさせろよ」

「そうか……すずももどってきたし、それはかまわない。おれも〝実戦じっせん〟はひさしぶりだ、確認かくにんしておくべきだろう」

「ならわたしがルゥイね。北上きたかみはすずにたのみなさい」

「おいなんでだ?」

「だってルゥイはおんなあまいもの」

「これだよ……まあいいや。土屋つちやおれにちょいえよ」

「あ、はい」

「こうえて性格せいかくわるいからけろ、すず。だがまあ、さきおれとハコでやるか。スプリントでいいか?」

「いいわよ」

 ならばと、おれはボードにって移動いどうしながらも、集合しゅうごうこえげた。

「まだまだ、貴様きさまらにはおなじことをつづけてやってもらわねば、コツすらつかめん間抜まぬけであることを、おれっている。だがすずも到着とうちゃくしたことだ、どうしてこんな練習れんしゅうをするのか、貴様きさまらにおしえてやろう――とおもったところで、おれいが二人ふたり、こうして到着とうちゃくしたのでな。休憩きゅうけいついでに、おれたちの勝負しょうぶておけ。なにかがられるともおもわんがな。各自かくじ水分すいぶん栄養えいよう補給ほきゅうしろ! おれたちは二人ふたりずつ、スプリント勝負しょうぶおこなうから、そのつもりでておけ!」

 指示しじだけをあたえておき、トラックの外周がいしゅう移動いどうする。

一応いちおう確認かくにんしておく。左右さゆうったフラッグからそとず、おくえるトラックの外周がいしゅう地点ちてんがフィニッシュだ」

「わかってるわよ」

「そうか」

 水分すいぶん補給ほきゅうをしている連中れんちゅう横目よこめ確認かくにんしたおれうなずき、一定いってい距離きょりけてハコとならぶ。

「いいぞ」

「じゃ、やりましょ」

 スタートの合図あいず必要ひつようなく、おたがいのタイミングを加速かそくれた。ボードに両手りょうてれるような位置いち、そのままおれはハコの背後はいごはいる。かたごしに、ちらりとたハコは、姿勢しせいをゆっくりとげてく。

 うしろにつかれたときてい姿勢しせいたもつのは危険きけんだからだ。何故なぜなら、それ以上いじょう加速かそくしないことをしめしているようなもので、また、左右さゆうへの運動うんどう速度そくどらなくなる。正攻法せいこうほうだなとおもいながら、ひとのトラックをぎたときおれもまたからだ半分はんぶんこして――そして。

 ヘキサもシザースも使つかわないのかとおもった瞬間しゅんかんに、ハコの姿すがた見失みうしなった。


 ――やられた。


 胸裏きょうりかんだのは、その一言ひとことだけ。あろうことか、おれ意識いしき隙間すきまいて、ハコはおれ頭上ずじょう移動いどうしていた。

 どうやって? ――理屈りくつとしては、おれからだそのものを〝地面じめん〟としたのだ。

 のこ距離きょりみじかいし、加速かそくではれない。だったがスクリューをれる? それが現実的げんじつてきだろうが、スクリューの途中とちゅうでハコは加速かそくれて先行せんこうしてしまうだろう。円運動えんうんどうをするだけ、距離きょりながくなるし、おそくなるのは明白めいはく

 だったら、途中とちゅうでキャンセルをれておれ加速かそくするしかないか……。

 スクリューを選択せんたくすると、ハコはおれあたまからからだよこ、そして頂点ちょうてん位置いちではボードの裏側うらがわを〝地面じめん〟にするようにうごく――頂点ちょうてん、そこでおれはキャンセルを強引ごういんれ、重力じゅうりょく利用りようしたきょう加速かそくれようとした、瞬間しゅんかん

 瞬間的しゅんかんてき脱力だつりょくしたよう、ハコがからだよこたおした。


 ――まずい。


 どうやらおれ自身じしん規則的きそくてき運動うんどうぎていたらしい。


 ハコはみずからバランスをくずすことで、安全装置あんぜんそうち作動さどうさせた。そうなれば必然ひつぜん、その言葉ことばどおからだ安全あんぜん優先ゆうせんされ――本来ほんらいとはちがうボードのうごきが、変則的へんそくてきなものとして発生はっせいする。いや、それだけならばいい。おそらく三秒後さんびょうごには、おれ加速かそくしたあと、ハコはしりもちをついてわりだ。


 だが。

 そのまえに、まずひとつ、おれのボードとハコのボードがった。


 これがありえないことである。何故なぜならば、本来ほんらいならば〝安全装置セイフティ〟そのものが、その部分ぶぶん保護ほごしているのだ。けれど、安全優先あんぜんそうちであるがゆえに、特定とくてい条件じょうけんでは、こういうことが〝よく〟あるのだと、おれっていた。

 近接戦闘インファイトと、おれたちはんでいた。両手りょうて使つかってなぐったりしたりはしないが、こうやってボードをわせたり――。

 ボードに障害物しょうがいぶつたり、キャンセルした状態じょうたいでの急制動きゅうせいどうが、くずれる。それはつまり、おれ自身じしんのバランスがくずれることと同義どうぎで。


 ――背中せなか同士どうし、ハコとってしまった。


 真横まよこはじかれるようなうごきを、身体しんたい感覚かんかくまかせた状態じょうたいでリカバリをするおれたいし、進行しんこう方向ほうこうへとはじかれたハコが、さきにフィニッシュラインを通過つうかしていた。

 まったく。

 本当ほんとうに、性格せいかくわるいヤツってのは、こうだから面倒めんどうだ。

「よかった、それほどうでちてないみたい」

嫌味いやみだな……こちとら、近接戦闘インファイトなんてやる相手あいてもいなかったんだ、随分ずいぶんにぶったものだと痛感つうかんしている」

本当ほんとうおんなあまいわねえ」

「ほっとけ」

 ふらふらと移動いどうしながら、おれたちは観客かんきゃくのいるがわ移動いどうしてから、ならんでまる。そして、すずと北上きたかみがスタートした。おれおなじよう、すずがうしろにつく。

うしろについたらわりだぞ……」

かんにぶってないならね」

 あの北上きたかみというおとこは、性格せいかく非常ひじょうわるい。というか、相手あいて機微きびたいしての反応はんのうがものすごいのだ。

 のんびりとした速度そくどで、そのまますすみ、中央ちゅうおうぎ、そして、そのままフィニッシュする。おそらくなにをしているのか理解りかいできたものすくないだろう。

 よこけようにも、あたまおさえられる。わざそうとしてもおなじだ。それどころか、わざすらせないよう速度そくど制限せいげんをかけるし、行動こうどうふうじられる。そのくせまえ北上きたかみ鼻歌はなうたじりだ、これがまたあたまにくる。


 もどってきたすずは、かた呼吸こきゅうをしていた。


「はあ、は、はあ――んぐっ、なんで、え、あれ、どうっ、……してですか、これ」

すこやすめ。おいケイミィ」

「おー? なんだハコにけた野郎やろう

すこせ。ヘキサくらいは余裕よゆうだろう、こっちの連中れんちゅうおしえてやる」

「あいよ」

 なか状況じょうきょう理解りかいできず混乱こんらんしたままの連中れんちゅうに、おたがいに一人ひとりずつ、ヘキサを実践じっせんしておしえてやってから、練習れんしゅうつづけるよう指示しじして天幕てんまくもどる。すずとハコがなにやらはなしていたが、どうせ北上きたかみ悪口わるぐちだろう。いいことだ。

「おにいさん」

「なんだ?」

うしろのほう有利ゆうりって、以前いぜんいてたんですけど!」

有利ゆうりだろう? なにしろ、相手あいて行動こうどうがよくえる。ただし、おなじだけえる前提ぜんていならば、まえほう先行せんこうしているだけ有利ゆうりになるのも事実じじつだ」

「うぬう……」

「ははっ、さすがにルゥイほど面倒めんどう仕掛しかけはしてこなかったしなあ」

最終的さいしゅうてきには近接戦闘インファイト、というのがおれたちの見解けんかいだろう、ケイミィ。軍人ぐんじんらしい意見いけんだったな?」

ってろ」

「なんですか、それ」

わたしとルゥイがやっていたものよ。使つかわずに、相手あいて姿勢しせいくずすの。最終的さいしゅうてきにはしりをつかせたらち、というかんじね」

「えっと……うん? ハコさん、もうちょいくわしくおねがいします」

方法ほうほうはいくらでもあるけれど、たとえばすずは、行動中こうどうちゅう相手あいてのボード同士どうしがぶつかる、なんてことを想定そうていできる?」

「え? いや、だって、そもそも安全装置あんぜんそうち大前提だいぜんていとして、ボード同士どうしがぶつかるなんてことは、ありえないですよ。それが可能かのうなら、移動中いどうちゅう障害物しょうがいぶつにボードがたるってことじゃないですか」

厳密げんみつには、〝てられる〟のだけれどね。事実じじつ、スクリューちゅうのルゥイにてたわよ」

おれ安全装置セイフティ介入かいにゅうしたわけだ、おれ無事ぶじではまん。さすがにリカバリーできないほど、ちぶれてはいないがな」

「ま、そこらはかんがえるよりもれたほうはやいぜ。全部ぜんぶ理屈りくつ理解りかいできてんのはルゥイだけだろうし? そのルゥイだって、説明せつめい言葉ことばくすのはむずかしいだろうさ」

簡単かんたんっているが、おれたちだとてこの技術ぎじゅつ完成かんせいさせるのに――……四十分よんじゅっぷんくらいあそんだか?」

「そんなものね」

「ということだすず、まったく参考さんこうにならん」

「ですよね! あーもういいです、あたしもちょっとあそんでくるんで!」

「ああ、ってこい」

 元気げんきがあって大変たいへんよろしい。

「――、すくわれるわね」

「まったくだぜ、ルゥイはめぐまれてやがる」

重重じゅうじゅう承知しょうちしている……」

 えらそうにしていたところで、あたまがらないのは事実じじつなのだ。

 ――すずのような、いや、ここにいる連中れんちゅうがいるからこそ、おれ戦場せんじょうたたかえて、いまきていられるのだから。

「しっかし」

訓練くんれん教官きょうかんされていたころおもすわね」

「おい、おれ言葉ことばるなよハコさん」

いじめたいわ……」

 そんなところで、うずうずするな。気持きもちはわかるが。

「わかった、わかった。そのわり、全体ぜんたい把握はあく手伝てつだえ。無茶むちゃをする間抜まぬけは休憩きゅうけいさせるからな」

当然とうぜんよ」

「へいへい」

 おれたちはふたたびボードにり、タイミングを見計みはからって訓練くんれん中止ちゅうし。ちらりとうで時計どけいはしらせる。

「――本来ほんらいならば」

 全員ぜんいんそろったところで、かる右手みぎてげたおれう。

「まだはやいんだが、どうもおれ仲間なかまというヤツはいていかん。そこでだ――やや変則的へんそくてきではあるが、おにごっこのようなあそびをしよう。いいか、どうせ貴様きさまらのことだ、おれとこのおんなとの勝負しょうぶで、なにがあったのかをあたまなかかんがえていながらも、いまだにこたえはていないだろう? ――それを、体験たいけんさせてやる」

 をもっておぼえろと、そうつたわっただろうか。

「ルールは簡単かんたんだ! フラッグを境界線きょうかいせんとし、トラックの外周がいしゅうからはず、貴様きさまらは両手りょうて使つかってもいいから、おれたちのバランスをくずし、しり地面じめんかせればちだ! ぎゃくおれたち三人さんにんは、両手りょうて一切いっさい使つかわず、貴様きさまらをころばせてやる! 最初さいしょ二十分にじゅっぷん時間じかん制限せいげんつきだ、っているもの手元てもと時計とけいとせ! 時間じかんわせ――はじめる! さあ、どこからでもかかってい!」

 すずをふくめれば、総勢そうぜい十人じゅうにんたいしたこちらは三人さんにん――しかも、おれたちはすぐに加速かそくれて位置いちをばらけた。

 サンサンヨン分割ぶんかつなら相手あいてらくだし――全員ぜんいんでも、まあ、運動うんどうにはなるだろう。

 もっとも?

 おれたちにとっては運動うんどうでも――おな運動量うんどうりょう強引ごういんにせざるをない連中れんちゅうにとっては、それこそ地獄じごくのような時間じかんかもしれないが、しかしまあいだろう。

 あそびなんてのは、いえかえってつかれたとるくらいでなくては、たのしみがりんのだ。


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