第4話 ねぇ、どうして
目を覚ますと、そこは保健室だった。
どうやら気を失っていたらしい。
……頭が痛い…。
突然、無遠慮にカーテンが開く。
「わっ…!よかった。目が覚めたんだね!心配したんだよ」
「よかった…じゃないわよ。いきなり入ってくるってどうなの…?」
「あっ、ごめん…まだ眠ってると思って…」
「……あなたが、運んだの?」
「うん、そうだよ。どうして分かったの?」
「私のこと気にかけてる人なんて、あなたくらいしかいないからよ」
……っ…まだ、頭が痛いわ……。
「大丈夫?まだ寝てた方が…」
「平気よこのくらい。放っておいたらそのうち良くなるわ」
「ダメだよ!安静にしてないと…。
それと…クラスの子から聞いたよ。明らかに、君のこと狙ってたって。さすがにこれは……」
「いじめなんて、そういうものでしょ」
「おかしい…おかしいよそんなの。そういうもの…なんて言葉、言っちゃダメだ」
彼の言いたいことは分かってる。
私がおかしいことも。でもそれでも──。
「あなたには分からないわよ。もういいわ、この際だから全部話してあげる」
「私はね、昔から一人でいることが多かったの。家でも学校でも。いつも一人でいた。別に、好きで一人でいたわけじゃないわよ?ただ、友達とかそういった存在の作り方を知らなかったの。嫌がらせだって昔から受けていたし、私が誰かと仲良くなることで、その子も傷ついちゃうかもしれないし。家でも一人だった。だから、誰にも相談なんてできなかった。そんな、一人の生活を送っているうちに慣れてしまったの。よくない事なのは分かってるわ。でも…いじめも、一人でいることも全部慣れてしまって。だから、今更どうこうしようなんて思わないわ」
ここまで言えば、彼も分かってくれるわよね。
私がおかしいことなんて重々承知の上。
それでも、慣れてしまったのだから仕方ないじゃない。
「ダメだよ…!そんなの。慣れるなんて絶対ダメだ。誰にも言えなかったならこれからは僕に言えばいい!僕の胸でならいくらでも泣いていいから!僕が何とかするからっ…!だから、だからっ…そんな悲しいこと、言わないで……」
彼の、真剣な言葉に、私は思わず
「何よ、それ…。そんな自分勝手なこと言わないで!あなたに、私の何が分かるの?私の苦しみが、あなたに分かるの?分かるわけないでしょっ!ふざけないで!」
何を言ってるの?私は。
彼に感情的になったってどうしようもないのに…。
「…そんなこと…言うんだったら……」
ダメ……
「だったら……」
これ以上は、ダメ──
「だったらっ…もっと早く──」
こんなこと言っても、何の解決にもならないのに───
「私に会いに来なさいよ…!私の傍に……いなさいよ………!」
こんなこと言ったら…私、嫌われる──。
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