第3話 しつこい天使
あの日から、も二度と話しかけてこないと思っていたのに、あいつは懲りずに私に近づいてきた。もちろん、会話なんてしたくないから全力で逃げてるけど。
それにしても、こんなにしつこいとは思わなかった。
誤算だったわ。
私、これから一生あいつに追いかけられる人生なのかしら…。
「あの、お願い!これでダメだったら諦めるから。これで最後にするから。僕の話、聞いてほしいんだ」
突然聞こえた最後という言葉に、私は振り向いた。
これで最後というなら、と思い彼の話を聞くことにした。
どんな話をされても、私は彼を突き放すつもりだったから。
「僕、実は前にも一度、君に会ったことがあるんだ。合ったって言っても、僕が君を見かけただけだけど…。あの時、僕は君に一目惚れしたんだ。一瞬で心を奪われて、ずっと君のことしか考えられなかった。寂しそうな君を見て…君の傍に居たい。君のこと、もっと知りたい。君を笑顔にしたい…。こんな僕じゃ…ダメ、かな…?」
彼の言葉、いえ…言葉だけじゃない。すべてが真っ直ぐで──。
「はぁ……分かったわよ。傍に居たいなら、勝手にして…」
あんな真っ直ぐ言われたら、断れないわよ…全く……。
あれからあいつ…いえ、真は私の傍に居るようになった。
まぁ、私が勝手にしてって言ったんだけど…。
ただ、彼といるようになってから嫌がらせが悪化した気がする。
相も変わらず、私が気にしていないことに真はうるさいし。
「ねぇ、嫌なら嫌ってちゃんと言わないとだめだと思うよ?」
「言って分かるような相手なら、そもそもこんなバカみたいなことしないわよ」
「え~でも…」
「いいのよ。別に」
「う~ん…」
そんなある日のことだった。
体育の授業で、私の方向に、勢いの付いたボールが飛んできた。
「高瀬さん!!危ない!!」
その声に反応するころにはボールはすぐ目の前で避けることなんてできなかった。
私の頭に強い衝撃が走る。
「なぁ。なんか女子のほう騒がしくね?」
「ほんとだ。人だかり出来てんじゃん。つーか誰か倒れてね?」
僕の目に映ったのは、彼女の倒れている姿だった。
僕は急いで彼女のもとへ駆けつけた。
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