第2話 最悪な転校生
次の日の朝、私はいつも通り、起きて着替えて学校に行った。
学校に着いて教室に入り、自分の席に座り本を読んで朝のホームルームが始まるまでの時間を潰す。
いつの間にか時間は過ぎていて、ホームルームが始まる。
「ホームルームを始める前に転校生を紹介するぞ」
その言葉で、クラスは一気にざわついた。
「おめぇら静かにしろ。じゃ紹介するぞ。入ってきていいぞ」
入ってきた青年は見覚えのある人だった。
見覚えのあるというかみたことあるというか会ったことのあるというか、正直ものすごく会いたくない人―—いや、確か天使だっけ。
「皆さん初めまして。天崎 真です。よろしくお願いします」
彼は微笑みながらそう言った。
彼の笑顔が私にストレスを与えた。
なぜなら彼は私を見ながら微笑んでいたからだ。
これが勘違いならどれほどよかったか…。
とはいえ、彼が私に関わろうとしなければ何の問題もなく学校生活を送れる…。昨日のことは記憶から抹消してすべてをなかったこにすれば、何の問題もない…。
だけど私のそんな考えは、彼の行動ですべて壊された。
彼は初日から、空き時間のたびに私に話しかけようとしてきた。私はそれを察知して、彼から全力で逃げる。そんな日々が続いている。正直めちゃくちゃ疲れる。今すぐにでもやめたい行為ではあるけどやめた先に待っているのはおそらく地獄。私は何としてでも彼とは関わりたくない…。
そんなある日のことだった…。
私が先生に頼まれていたものを運び終わって自分のカバンを取りに教室に戻ってきたときのことだった。
私の机に容姿を貶す言葉や人を蔑む言葉がいくつも書かれていた。
もうこういったことには慣れた。
消すためにぞうきんを取りに行こうとしたその時、教室に彼が入ってきた。
彼は私のほうへ近づいてきた。
私は教室から出ようとドアへ向かった。
彼とすれ違ったその時…。
彼は私の手を掴んだ。
「これ…誰が書いたの…?」
彼はおそらく机の上に書かれている文字を見たのだろう。
「知らないわよ。そんなの」
「どうしてこんなひどいことを…それに…なんで君はそんなに落ち着いているの?」
「なんでって…もう慣れてるし今更こんなの気にしたって…。ていうか早く消したいからその手、離してくれない?」
「あっ…ごめん…。そうだ!これ僕が消すよ」
「えっ?」
私は思わず彼のほうを見てしまった。
ずっと背を向けていたのに…。
「やっと!!!!僕のほう向いてくれた!!!!」
「そういうのって心の中にしまっておくものじゃないの?」
「はっ…‼そうだった…つい…」
「まぁいいわ。そんなことより、あなたが消してくれるって、私の代わりにぞうきんで消してくれるってこと?」
「ううん。道具を使わなくても僕の力で消せるよ」
「あなた…の力?」
「うん。ほらこうやって…」
そう言いながら彼は、手から謎の光を放ち机に書かれていた文字を消したのだった。
「あなた…本当に人間じゃないのね」
「まだ信じてもらえてなかったんだ…。羽、見せたのに…」
「それは…なんていうか…ごめんなさい。そんな簡単に信じられることじゃなくて…」
「そっか…。でも信じてもらえたならそれでいいかな。」
「一応、お礼は言っておくわ。消してくれてどうもありがとう。それから…いい加減疲れるからもう一つ言っておくわ。もう、私に関わってこようとしないで。私は、一人でいたいの」
私はそう言ってその場を立ち去った。
あそこまで言えば、彼もきっともう私に話しかけてこない。
彼から全力で逃げながら学校生活することはなくなる。
明日からは平穏でいつも通りの生活に戻れる。
私はそう考えながら帰宅した。
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