天使に恋
ぺんなす
第1話 変な奴が来た
私は今日、今後の人生を大きく変える出来事があった。
ピンポーン。ピンポーン。
何度か聞こえてくるその音を私は無視した。
出るのがめんどくさかったから。
無視をし続けると、ずっと鳴り続ける。
ピンポーン。ピンポーン。
仕方がないの出ることに。
「どちら様ですか?」
ドアを開けると白髪の青年が立っていた。
二次元でしか見たことのないきれいな白髪だった。
そして、宝石みたいに綺麗な
どちらも二次元でしか見たことない。というか、二次元でもそんなにいない。
「あっ!やっと出た!全然出てこないから死んじゃったのかと思ったよ」
およそ、そのビジュアルからは想像できないような言葉が発せられ、唖然とした。
少し間を開けて──
「…めんどくさいから出なかっただけです」
「そっか~!よかった~死んでなくて」
彼は笑顔でそう言った。
そして彼は無断で家へと入ってきた。
「ちょ、ちょっと!!何、勝手に入ってきてるの!?」
「えっ?」
「えっじゃなくて、勝手に人の家に上がるとかどう考えても不法侵入なんだけど。しかも靴脱いでないし」
「あぁごめん。まだ人間界に慣れてなくて」
人間界?何を言っているの?
「よいしょっと。ふぅ、これでいい?」
彼はそう言いながら靴を脱いで、玄関に置いた。
「…まあいいけど……」
「よかった~」
いや、ちょっと待って、全然よくないしまず──
「あの、あなた誰?」
「僕は…天使だよ」
「は?」
何この人…絶対頭おかしいよ。突然家に来て無断で入ってきて、そのうえ自分は天使って…。
「もしかしてあなた、中二病?」
「中二病?何?それ」
「…一種の病気……みたいな?」
「病気?僕は病気じゃないよ」
「いやでもだって…自分で天使とか言ってる時点で病気みたいなもんだと思うんですけど……」
絶対病気だよこの人。自覚ないとかやばいほう。
「だって僕ホントに天使だから。信じてくれないなら証拠を見せるよ」
そう言った瞬間、私の視界がまぶしく光った。
私は反射的に目をつぶってしまって、あまり詳しく何が起こったのか分からなかった。
そして、目を開けると──真っ白の翼が目に飛び込んできた。
とても綺麗な白で、いわゆる純白と呼ばれるもの。
「これで分かってもらえたかな?」
「それってもしかして……天使の翼?」
「うん。そうだよ」
「あなたホントに天使だったの…?」
「だから、そうだって言ったでしょ?」
彼はニコニコしながらそう言った。
天使という存在がこの世に存在するということを初めて知った。
「それよりあなた、なんのために私の家に来たの?」
「僕は君のことを探してたんだ。君と恋人になるために」
「は?」
中二病じゃなくてもこの天使頭おかしい。
私、天使と初対面だし。
それなのに何で好きとか言えるの?
「えっと…状況が上手く掴めないんだけど…あなた、私と会うの初めてよね?」
「うん。そうだよ」
「じゃあどうして好きとか言えるの?」
「うーん……どうしてって言われても…好きって思ったから好きって言ってるんであって、好きじゃなかったら好きなんて言ってないから…つまり好きってことだよ。それに、こうして直接会うのは初めてだけど、君のことは知ってるよ。だから、探してたんだ」
全然意味が分からない。
「全然理解できないんだけど」
「うーん…こればっかりは伝わんないか。まあとりあえずこれから仲良くしよう!詳しい話はまたゆっくりするとして……今日は本当に挨拶しに来ただけだから。またね」
そう言って彼は玄関へ行き、ドアを開けて家を出た。
彼は家を出る前に
「じゃあね」
と言いながら笑顔で手を振り家を出た。
突然やってきて、突然去ってゆく。
全く…何が何だか意味が分からない……。
私は、その日まで自分の生活が、この後どんな風に変わるかなんてまったくもって予想していなかった。
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