第2話 手伝い

 翌日の昼休み。

 俺は携帯電話片手に屋上へとやってきた。人目につかない場所を探し、腰を下ろした。そして、携帯電話で検索をかけた。

 コスプレ、雲の人。

 すると源のように写真が出てきた。俺は唯一知っているキャラクターを選択し、画面いっぱいに映し出した。よく見れば、確かに昨日見た女子の顔がそこにはあった。だが、別人のようにも見える。本人だよな?

「いた」

 聞き覚えのあるような、ないような声が聞こえた。俺は携帯電話から視線を上げる。

「昨日は、どうも」

 ヅラ女子がいた。

「どうも」と、ぎごちない俺。

「黙ってくれてありがとう」

 女子は頭を下げた。

「いや、別に」

 女子はすっと頭を上げ。

「その、あなたに手伝ってほしいことがあるの」

「手伝い?」

「そう、簡単な手伝いよ」

 女子の顔は無表情だった。なんだか怖い。

「とりあえず、手伝いの内容を聞かせてくれるか?」

「そうね、いいわ。手伝いの内容はコスプレをしてほしいの」

「却下だ」と、即答する俺。

 冗談じゃない。

「なんで? あなたにそっくりなキャラがいるのよ。是非ともコスプレをして写真を撮りたいの。大丈夫、顔は映らないように撮影するから」

 そういう問題じゃない。

「お願い! 私の秘密を知ってるのって、あなたしかいないのよ」

 女子は昨日も見せた土下座をしていた。

うぐっと俺は喉が詰まる。女子に土下座させている。まるで俺が悪者みたいに見えてくる。

「とりあえず顔を上げてくれ。その体制は気分が悪くなる」

「じゃあ、やってくれるの?」

 萎れた花が生き返ったように、女子は顔を上げた。

「やるとはいっていない」

「なかなかしぶといわね」

 タイミングを計ったかのようにチャイムが鳴った。

「私は諦めないから」

 そう言い残し、女子は屋上を去っていった。

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