第22話 甘酸っぱい!

僕らの学校でダントツの一番人気がタシロさん。

その友人兼引き立て役、それがミズハラさんだ。


僕はといえばルックスも中身も中の中。

吊りあう女の子がいるとしたら、それはきっと同じくらいに地味なミズハラさんに違いない。


それで僕は彼女にアピールするために頑張って成績を上げた。

球技大会ではサッカー部のエースと競り合ってシュートも決めた。

ただ、街で不良たちから助けたのはやりすぎだったようで「ストーカーかよ」と怒られた。

一緒にいたタシロさんにも睨まれた。


そしてある日とうとう。


「もうアタシに構わないで」


ミズハラさんにうんざり顔で告げられた。


「キミは周りがまったく見えていない。アタシは友達を大事にしたいんだ」


放課後の誰もいない教室で。

僕は渡せなかった映画のチケットを破りかけて……。


「あーあ、それもったいないなあ」


振り向くと。


「ちなみに私、日曜なら空いているんだけどさ……」



なぜか真っ赤な顔で、タシロさんが呟いた。


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