「あれ、こんなキャラいたかな？」

「半透明の……落武者？」

そのスマホゲームが新たにバージョンアップした日、ある奇妙な現象がインターネットで話題になった。

いるはずのない、見えるはずのないものが拡張現実の画面に写ってしまうという。

しかも試してみると、なんとゲームと同様に捕獲できてしまったというのだ。

たちまち『彼ら』の捕獲ブームが全国的に広がった。

墓地、古戦場、病院の廃墟。いわゆる心霊スポットと呼ばれる場所には子どもたちが群がり、次々に『彼ら』をコレクションに加えていった。

しかし『彼ら』は、商業的に造られたキャラクターと比べるとどうしても魅力に欠ける。

よって『彼ら』が各地で乱獲され絶滅する頃には、ブームはもう去っていた。

更にメーカーがバグ修正版の新バージョンを公開すると、世間が『彼ら』を話題にすることもなくなってしまった。

子どもたちのスマホに取り込まれた『彼ら』がその後どうなったか、誰も知らない。

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