第14話 復讐

「ひどい時代だったよ。

誰もが貧しいくせに、貧乏人どうしで憎みあい、奪いあっていたんだ。

私も理不尽な目には何度もあってきた。

でもそれは仕方のないことだと思っていたんだ。

あの日、優しかった母が餓死するまではね。

それで私は母の亡骸に誓ったんだ。

必ず!必ず復讐してやる、とね。

私は働きに働いた。

20年かけて、どうにか成功することができた。

その財産を全て売却して、学校に通ったんだ。

もったいないことをする愚か者と笑われたよ。

それでも学びたかったんだ。

復讐のためにね。

その後私は法律家となり、政治家に転身し、やがて権力を握った」


「はい。あなたはこの国を繁栄させ、貧困と腐敗と差別を一掃しました」


「なあ、私は母の復讐を果たせたのかな?

残酷で冷酷で悲しすぎる、世の中への復讐を」


「大統領閣下、あれが聴こえませんか?」


官邸の周囲を埋め尽くした大群衆。



病床の老英雄を讃える歌は、いつまでもいつまでも絶えることがなかった。

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