第13話 国策不幸
久尾さんはブサイクで不器用な上に不運でもあったから、生まれてこのかた酷い目にばかりあってきた。
「ちくしょうふざけやがって!なんでオレばかりがこんな目に!」
久尾さんが叫ぶとタービンが回転し、電力が発生する。
『呪力発電』
それは久尾さんの溜まりに溜まった鬱積や憤懣のエネルギーを有効活用した日本の独自技術である。
もちろんこんなことができるは世界でもただひとり、久尾さんしかいない。
だから実は久尾さんは大変な高給取りである。
本来であれば恋人も結婚相手もよりどりみどりであろう。
しかし政府は久尾さんを常に監視し、妙齢の女性との接触を厳重に制限していた。
呪力発電は既に日本の電力総需要の数割を担っている。
だから今さら恋愛や結婚などで久尾さんの心が満たされてしまっては困るのだ。
「そりゃオレだってイケメンに生まれたかったさ!」
発電所では今日も久尾さんが叫んでいる。
「どいつもこいつも爆発してしまえ、ちくしょうめ!」
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