お仕事はまた来週

『お父様、許してくれるかしら』

「大丈夫だよ。ちゃんと大好きって伝えて、ごめんなさいして、仲直りしようっていえば、大丈夫」

『本当?』

「本当だよ」

『……うん、ありがとう。お兄ちゃん』


 その言葉とともに、笑顔で少女は光の粒子となり、宙に溶けて消えていった。

 それに手を振って見送ったスクナと、どうでもよさそうに仏頂面をしているユティー。


「ユティー、ありがとう」

「……ちっ。精鋭軍、消えろ」


 ユティーの一言で霞のように一瞬にして消え失せる白銀の騎士たち。幻だったんじゃないかとスクナは思ったが、武道場の床に残された遊子の身体に合わせて剣を突き刺した跡が。確かに彼らがさっきまでここに居て、力を貸してくれていたことを証明していた。


「君、お疲れ」

「あ、チナミ班長」


 ユティーとスクナが振り返ると、いつの間にか後ろに立っていたチナミが、苦笑いでスクナに話しかけてきた。苦笑いをされる覚えなどなくてきょとんとしているスクナ。本当にわからなそうなその顔に、チナミはため息をついた。


「蛇、苦手なのかい?」

「あ! ……はい、すみません」

「いや、最終的には結果オーライだから問題はないのだがね」


 途中ちょっとひやひやしただけだよと言われてますます小さくなるスクナ、それを鼻で笑うユティー。心配することはないと苦笑ながらも、チナミはスクナの背中を力強く叩いた。慰めのつもりらしい。


「まあ、なんであれ一週間お疲れさま。今日はこれで解散だ」

「でも、後片付け……」

「これはさすがに業者にやってもらうさ。彼らの仕事がなくなってしまうからね」


 ぱちんとチナミはウインクをして、仕事の終了を知らせた。

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