第4話 2人の約束

CDをμ'sのベストに変えて車を走らせる

「颯人ってバッティング得意だっけ?」

「うーん

不得意って言ったら嘘になるって感じです

そこそこの速さは打てます」

「へーすごいなぁいつも1人で行くの?」

「基本は1人で行きますけど

先輩とかサークルの女子組がいない時は

男子組3、4人で行ったりしますね」

そう言うと先輩が少しムッとした

「ずるい!私も行きたい!みんなで!」

「そんな怒らなくてもf^_^;)

今度は先輩とか女子組も連れて行きましょう」

「ん!絶対行く!」

可愛いなぁと思いつつ、車を走らせる

しばらく無言の時間が続いた

なにか会話をしようと思ったが

食後だったのもあるのか先輩は寝てしまっていた

可愛い...先輩の寝顔は初めて見た

「無防備だなぁ

まあ、寝てるから当たり前だけど」

丁度信号で止まったので頬をつついてみた

「うーん...」

「おっと...あぶない、起きるかと思った」

数十分でバッティングセンターに着いた

本当の事を言うと起こさずに

この寝顔を眺めていたいが...

「起こしますかね

ほら、先輩!着きしたよ、起きてください!」

「うーん...ん?

え、着いたの!?私寝てた?」

「は、はい寝てましたよ?結構ぐっすりと」

「まじか...ごめん!寝ちゃって!」

「いいですよ、気にしなくて

先輩の寝顔可愛かったですし」

「な、見たな!?恥ずかしい...もー!」

顔を赤らめながら怒る先輩、やっぱり可愛い

「まあ、そんなに怒らずに...」

「いやそんなに怒ってはないけど

さ、バッティング行くよ!私も打つぞー!」


時刻は13時40分くらいだが

外はかなり寒く

バッティングセンターは室内で

とても暖かかった

「おー、あったかいね〜ありがたい」

バッティングに行こうとすると

店員さんが来て

「温かいコーヒーどうですか?

サービスです!」

「あ、ありがとうございます、すいません」

「いえいえ、どうぞ

体温めてからバッティングに!」

先輩に教えようかと思ったが既に貰っていた

最近では珍しいサービスだなぁと思いながら

貰ったコーヒーを口に運ぶ

美味い、暖房で少し温まった体に

コーヒーが染みて、温まる

飲んでいると、先輩が近づいてきた

「コーヒー貰った〜

最近では珍しいサービスだねー」

「ですね、僕も思いました」

コーヒーを飲んでホッとする時間

先輩といると余計にホッとする

コーヒーを飲み干して

「さて、体もあったまったし

そろそろやりますか!」

「お!頑張れ〜」

「はい!」

さて、先輩に見られて少し緊張するけど

いつも通り90キロから始める

「ふっ!」

いつも通りよく打てる

90キロは遅くはないが、慣れれば何て事はない

「あれ?90キロってあんまり早くなくない?」

と先輩にツっこまれてしまったので

「いやいや、まだまだこれからです!

これはウォーミングアップです!」

「そ、そうなの?」「はい」

90キロを終え一気に120キロに上げる

「お、それっぽくなった!ファイトー!」

それっぽくって...

「はい!」

いざ始めてみると、いつもより打てた

これも先輩のおかげか?なんて考えつつ

打つのに集中する

ヒット性の打球を打つと先輩は

「おー!」と子供のような

リアクションしていた

90キロと120キロを終えて先輩の所に戻ると

スポドリを買って待っててくれた

「あ、すいません、ありがとうございます」

「いえいえ、これくらいはねー

にしてもよく打つねー

早くてボール見えなかったよ!」

「ありがとうございます

俺よりもっとすごい人ここいっぱいいますよ」

「ひぇー...」

この辺でバッティングセンターはここしかなく

常連さんも多い

今日はクリスマスだからか人は少ない

まあ、皆んなどっか行ってるかな

「先輩も少し打ってみます?

1番遅くて70キロがありますけど」

「えー私?打てないよー?多分

もっと遅いのないの?」

「ないっすね、1番遅いのが70キロです」

「うーん...」と悩む先輩に

「ほら!行きましょ!

もし3球打てたら1つだけ

先輩の言う事聞いてあげます!」

「うーん...嬉しいけど

なんか物でつられたみたい...」

たしかに物で釣ったみたいだけど...

先輩は自信無さそうにバッターボックスに立ち

バットを握った。

俺はそこはかとなく期待を寄せていた。

そして、一球目。

先輩のスウィングは綺麗だった

自分が予想していたよりも綺麗で、少し驚いた

しかし、一球目は空振り

そこから空振りを連発して

残り10球になった時に先輩が言った

「ねえ!もし3球打てたらさ!」

と言いながら1球打って、驚いた

「おお、打てた、なんですか?」

次は空振り、続けて先輩が

「お願い!聞いてくれるんでしょ?」

カキーン!いい音をだしてボールが飛ぶ

「おお、先輩すごいなコツ掴んできたかな?

は、はい!聞きますよ!可能な限り...」

「じゃあさ!今度、私と...!」

最後の一球が飛んでくる

先輩はフルスイングでボールを打つ、そして

カキーン!見事にヒット

俺は正直驚いた

初めてやってここまでとは...

終わってすぐ振り向いた先輩は俺に向かって

「ねえ!颯人!お願いだけど...」

言いかけて、先輩は

「やっぱりいいや!今日帰るまでに考えとく!」

え...え!?

「え...?なんすかそれ!気になりますよ!

教えてくださいよ!」

「だめー、後のお楽しみ!」

「えー...ケチだなぁ」「ふふっ」

先輩のお願いは気になるところだから

その後聞いても教えてはくれなかった

「今日終わるまでだめ」だそうだ

少しもやもやしながら

バッティングセンターを後しようとすると

俺より2つくらい上の人にぶつかってしまった

「あ、すいません」

「いえいえ、大丈夫ですよ

こちらこそすいません」

いい人だなぁと思いながら帰ろうとすると

「あの、落としましたよ?」

ぶつかった人が財布を拾ってくれた

「あ、すいません、ありがとうございます」

「いえいえ、デートですか?

お気をつけて」

「え!?、は、はい...」

急に言わないでほしい...びびる...

幸か不幸か先輩には聞こえていなかったようだ

改めてバッティングセンターを後にした


5話へ続きます!

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クリスマスに咲く微笑み ハヤテ @Rumizirou

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